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ノルウェーからビヨルン教授(Bjørn Grinde) 来訪


 

 
 ノルウェーから来日のビヨルン教授が4日間の豊里・春日山滞在を終え、東京に向けて出発しました。

 共同体についての本を執筆中のビヨルンさんは、より良い生き方のためにどういう暮らしをしているか、特に社会生活について興味があり、ヤマギシではどうして宗教もなく幸せに暮らせるのかを知りたいと今回来訪しました。

 3日目は春日山に行き、「豊里も春日山もどちらも流れている空気は同じで、皆幸せそうで、満足した顔をしている。自分にもとても親切だった。春日山の方が少し若い人が多かったかな」と語っていました。

 前日の懇談会では、「豊里の人は自分と同年齢か、年上の人が多いが、何か対策を考えているか」と質問し、誰も不安に思っていない様子に「全てのものに永遠はないし、それは必ずしも悲しいことではないが、ヤマギシの理想が死んでいくのは淋しい。もっとやれることがあるのでは」と投げかけてくれました。

 懇談会ではお互いに言葉を探し、手探りでもどかしく感じる場面もあったが、お茶を飲みながらの話ではユーモアたっぷりに会話を楽しみました。お互いの考えや状況について話し、質問には、最先端の脳科学に基づいて分かりやすく説明して貰ったり、気づかされたり、有意義な時間を持つことができました。

 脳に興味があって生物学を学び、当時は人間の心と脳は関係がないと思っている人が殆んどだったが、30年前から脳科学と人間の幸福について書き始めたそうです。心の問題は心理学の分野でと思っている心理学者からの批判もあったそうですが、15年ほど前から心理学でも、脳から考える人が出てくるようになったそうです。人間の幸福と生物学の両面から考える人は世界で一人だと述べていました。

 「みんなの話を聞いていると特講は簡単に説明できるものではないだろうなーと思うが、自分なりのイメージはある。行ったら実際は違うのだろうけど・・・」
 車の中で近藤さんから「どんな時に腹が立つか?」と聞かれ、「店員の対応が悪くても、一時で忘れられるけど、奥さんが思い通りにならないと、ずーっと一緒にいるから難しい」と答え、「研鑽スクールに奥さんを送りたい。奥さんが変われば、自分は変わらなくいけるから」と笑わせていたとか。
 

 
 「今書いている本にヤマギシを紹介するのだが、来てみて感じたことはとてもたくさんあり、書き表すのは難しい。でも自分のできるだけの力でやってみようと思う」と話してくれました。

 後藤さんは「学問と学問を繋ぐ研究者は貴重で、学問を通して本質に行こうとしている人に出会えたのは大きい。アプローチする側からこちらが問われたことも大きい」と話していました。

 4日の朝、見送りに駆けつけた人たちに囲まれて、「自分の家だと思ってまたいつでも来てくださいね」との声かけに、「昔からの家族のように思う」と答えて、実顕地をあとにしました。

【豊里実顕地 喜田栄子】

Bjørn Grinde(日本語では難しいけれどビヨルン・グリンデ)さん

 彼は59歳、既婚。2児の父親で、長男は結婚して別に生活、長女は大学生、薬学を勉強しています。交換学生を受け入れていて、各国に子供がいると言っています。見たところ背の高い普通のおじさんです。調べるという面では非常に積極的で自分にわからない点や、違うと感じた時には多角的に調べようと聞いてきます(食い下がってきます)。

 若いころから脳について興味があり、生物学を勉強してmental health(精神の健康)について研究しています。一時、オスロ大学やその他の大学で教鞭をとったりしていました。現在は ノルウェイの精神衛生の組織で研究しています。

 今までにDarwinian Happiness(ダーウィンの進化論から見た幸福?)、God(神)など4冊出版していて、これからも2冊出版の予定があるとのことです。(豊里にDarwinian Hppinessを進呈してくれました)

 今は社会の幸福を進化や遺伝子的な面から多角的に探ろうとしています。目的を持った共同体に着目し、世界各地にある共同体(マサイ等の部族を含めて)を訪れてきました。

 今回日本に来た目的は、幸福を探求しているヤマギシを調べる為で、立ち寄った東京で木の花ファミリーにも行こうと思い、途中1泊して来ています。

 11月1日に来訪し、4日に出発しました。

近藤利彦 豊里実顕地