ヤマギシのむらnet

「エッセイ」
バットムンクの口笛


研修生のバットムンクは遊牧民である

幼いころから 家畜の世話を してきたという

ナーダム(モンゴルのお祭り)の草競馬

子ども部門で 優勝したこともあるという

一緒に 仕事をすると 身のこなしが違う

ふーんと 感心してしまうのだ

最近になって 催乳に 牛を連れてくる誘導を始めた

順さんが「口笛をふいてみたら」といった

バットムンクは おもむろに 舌の先を 下歯に 滑り込ませて

「フィッ」 と吹いた

犬笛というものがある その周波数が 20000ヘルツ を超えると もう人間には聞こえないという 

犬は その音を 聞くと 耳をそば立て 音の方向に耳と目で反応する

口笛を吹くバットムンク

そして 一目散に 音の方向へ 駆け出すという

「フィッ」 バットムンクの口笛は 広い牛舎に響いた

それは 乳牛たちの本能に 一瞬にして とどいた

口笛に 牛たちは ベットから立ち 耳を立てた

牛たちは 音の方向に 動き始めたのだ

モンゴルの 北の草原の 羊や山羊に向けて 放たれた 口笛は

草原の風に乗り 家畜たちの耳を捉える 

羊たちは バットムンクの意志を聞き 動きを 決める

広大な草原の 家畜の群れと フリーストールの牛舎の牛

ひょとすると 地球上の あらゆる家畜たち

バットムンクの口笛に 反応するのかと思うと 嬉しくなってしまう

近々 バットムンクに 教わって 舌の先を ととのえて

「フィツ」と吹けるように

なりたいものだと 思っているのも  

いいでしょう

【春日山実顕地 柳文夫】
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コメント

  • 柳 順(春日山)

    ムンクに聞いてみたら、羊や山羊を追う時には「フィッ」と短い口笛で、遠くから呼び集める時には「フィーーーッ」と長く吹くそうです。春日山の牛たちも、よく反応します。
    昨日の春日山の交流会で、ムンクの口笛を披露してもらいました。その時の、ナーダムの草競馬子ども部門(5才~12才)で6才の時に優勝したという話しに、幼年さんたちが目を輝かせていました。そして、さっそく幼年さんたちは口笛の練習に精を出すのではないかなぁと思いました。

  • ゲレルマ多摩供給所

    特講の時、彼は「馬に乗って草原を走っている時が一番幸せを感じます」と言っていた事を思い出します。
    大きな夢を持って日本の村に実習生として来た彼らの胸に中に生まれ育った大草原や自然豊かな故郷を思い出す日々あるでしょうね。
    元気にやっている彼らを見ると安心します。
    皆さんこれからもよろしくお願いします。

  • 平島春美 (春日山実顕地)

    読んでいて‘ザワー’と身の気がそばだつほどに感激(とも違うだけど、、、)
    なんと言ったらいいか?
    まだ見ぬモンゴルの草原が眼に浮かびました。

  • 亀山 剛(三重県津市)

    「牛追い」もしくは「牛集め」?
     パーラーで吹いて、みんな来たらゲートはどうしよう。牛舎で吹くとパーラーには行くのかしら?
     「群別け」はどうしょう。
     どうも夢の無い受け取り方しか出来ない私。草原とフリーストールでは基本的に考え方が違うのでは,とも思う。

     でもモンゴルの人達が、西洋の思想の基に考えられた畜産職場で活躍する姿は「Cool!!」

  • 河合さをり(奈良)

    ハメルーンの笛吹きを思い出しました。
    バットムンク君の口笛についていくあらゆる動物を想像するとなんだか愉快ですね♪
    柳さんもなれるかな?