歌詠み人・上門善和さん
9月30日の朝日歌壇に上門さんの短歌が入選していました。
彼は知る人ぞ知る歌人で、新聞・雑誌によく入選されている。
今回の作品は
樫の実の トタンの屋根に落ちる音 十一匹目の子豚が生まる
勝手な僕の解釈
子豚が生まれるその成り行きを、ワクワクしたり、
ちょっと心配しながら見守っている豚飼い人が一人。
その静寂の中に、〝ぽとん〟と、トタン屋根を打つ音。
ドングリが樫の木から放たれ、そして同時に、新たな命としての子豚の誕生。
豚舎で一人安堵する豚飼い人の心情。
一寸お話を聞かせてもらいました。
歌を始めて7年位だそうです。毎日新聞の地方版に入選したのがきっかけで、作るようになったとか。朝日歌壇は毎回(週一回)4000首くらいの応募がありそのうちから40首入選。
ちなみに俳壇は6000句の応募があるんですって、すごいですね。
松本さんの解説に対して
「そうだね~そんな感じかな、命の誕生を喜ぶというのはもちろんあるんだけど、原発の放射能やらなにやら、この厳しい世にも命は確実に誕生し、うけ継がれていくみたいなこともあるんよ。パッンという音を聞いたとき、ドングリという言葉の響き、そこへかわいい子豚の誕生、それが結びつく幼いころの郷愁みたいなものかな」
上門さんは昨年、六川実顕地から春日山実顕地に移って来られ、養豚部と果樹園のベリーA(葡萄)を手掛けている。
今年巨大な葡萄、一房1.5kgもあるのができた。
「紅伊豆やシャインマスカットには敵わないから大きさで行こうと思ってネ」
なんて遊び心満点。大きくても、とっても美味しかったです。
それでも、今年の4月頃までは新しい実顕地に慣れるのに必死で、短歌どころではなかったとか。
歌も面白いもので、出来る時はコロコロできるけど、さっぱりのときもあってな、最近出荷直前の豚の西が峰農場から、出産・子豚の宮の浦農場にいくようになって、イメージが広がったとか、まぁ~繋がりがより見えたという事でもあるだけど。
いけるかな?という<歌>ができるのはだいたい月にふたつくらいかな。
歌も詠んだら自分から放して僕の歌じゃない、そのくらいまでいけたら、湧き上がってくるものもつつみかくさず相聞歌でもなんでも詠える。(今はまだちょっと恥ずかしい、ですって)
放すってことかな。