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若者とおじさん


別海の牧草収穫から帰ってきた、今井 栄一君にインタビューしました。
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「春日山に来て3ヶ月。やってみてどうですか?酪農部で年配の人と一緒に仕事をすることも増えたと思いますが…。」

 

以前、別海にいた時は、内地(ないち)の実顕地の、大方の年配の人は、「隠居」というイメージがあった。けれど、こっちに来て年配の人と一緒に仕事をしてみると、ひとりひとり、やれるところで、やりがい持って動いているんだなぁ、というのが実態として分かってきて、こんな感じもありかなぁ、と思うようになった。

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「別海の牧草収穫はどんな感じでしたか?」

 

今回の牧草収穫は、若いのが、若い動きを、年配の人は年配の人の動きをしていこう、というスタートだった。
以前、別海の牧草に声かけた時に「夕方、いつまでやるのか分からない」「朝の打ち合わせでもあまりよく分からず、始まる」そして、後からどっと疲れるから行きたくない、みたいな返事が返ってきた。
別海としては、適期交流に来て貰って、朝の時点で決めたことも、時間とともに変化していくのがふつう。牧草収穫といったら、行けるとこまで行って、終わったら終わり。みたいなのが基本的に空気として流れているから、別海にいる時は、その辺、あまり分からなかった。
太陽が沈んでも雨前なんて、絶対やりきって終わり。その辺は、分かっているでしょ。みたいなのがあった。来た人は「分かっていても、ちゃんと、打ち出して欲しい。ここまでやるって分かった方が、目標が定まって楽。」と去年までは、何度も言われてきた。
僕としては、もう1台のハーベスターに乗っている正樹さんの判断を見つつ、正樹さんは次の畑に行くのかな?と、正樹さんがどういうところを描いているのかなと、サブ的な感じでやっていた。
今年はスタートの時に、「若者は若者として、年配の人は年配の人として…」こんな風にやりたいと出したら、正樹さんは、僕にはそういう感覚は分からないから、栄一すすめて。と言われた。
なので、今年は朝の時点では決まっていなくても、ある程度自分が決めた時点で、情報をLINEで流して、「今日はここまでやりきろう」「あともうひと息がんばろう」みたいな感じで。
牧草の気風としては、「疲れないように」というところだけで物事を進めていくと、「草」っていう物に照準が当たらなくなってくる。その辺を確実に、雰囲気として大事にしていきたい。良質の牧草を収穫する。何の為にやっているのか、目的はあるから、人の事情だけで、見す見す、いい草を逃していくことはしたくない。そこをキープしつつ、みんながケガをしないでやれるように、その辺りを正樹さんは見てくれていたと思う。
「ハーベスターの横に乗っているだけでもいい」って話があったけど、基本的に正樹さんはそんなスタンスですよ。どんな人でも交流に来てくれたらいい。仕事できても出来なくてもいい。来てくれるだけでいい。やれるか、やれないかは、一緒に考えながらすすめていきましょう、っていうのは、ずっと流れている別海の気風。そういう人達ばっかりですよ、別海は。
牧草の時期はやっぱり「いくぞ~!!」っていう雰囲気にはなるけれど、疲れてきたら、
1台減らしてでも休んでいいですよ。っていうのは、みんな思っている。
年いった人は、それなりに疲れるから、休む時は休んでもらって、メリハリ付けてやろう、という描きだったから、「年配の人は疲れたら言って下さいね」それに合わせて段取り組むよって言っても、みんな言ってこない。
よっぽど、この人は疲れているな、という時は、「この車に乗って、帰っていいですよ。」と声かけたり、時にはピンチヒッターで、荒木さんに出動してもらったり。(おー、行くよー。って来てくれる)
もう、だから明るいうちに、終わるなんて基本的にはNGだったから、(まー、最近は減ってきていたけど)
わざわざ交流に来てもらっているのに、日の昇っているうちに終わるのもなんだかな。ってのもあった。
でも、今日はここまで進めたらもういい、明日もこういう見通しが立つな、という時は「ちょっと早く上がって、温泉でも行こうと思うけど、どう?」と言ったら、慎哉さん達も「いいんじゃないかー。そろそろ、みんなもお疲れでしょう。」温泉行って、ビールでも飲んだらまた、リフレッシュしてやれるかなー。
ま、そんな感じで。
今年は天気もよく、条件が整っていたからねー。

 

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「栄一君の中で、どこで、何が変化あったのかなぁ?」

 

春日に移動してきて、おじさん達とやってきて、その辺、僕としては影響大きかったかなと。
僕の中で今回は、年配の人は、年配の人としてやってもらったらいいかな。
若者は、もうちょっと自分も、若者としてのやりどころがあるのかなって、春日山でやっていて、その辺りが強くなったのかな。
今回、牧草に送り出してもらうにあたっては、彰久君や卓海君から、「こちらは何とかするよ」って、はっきりしたものを感じたから。おじさん達も気持ちは有るからやれるところやってもらって。

 

 

 

 

IMG_20190722_084828「これからの実顕地というので、想うことあれば聞かせて欲しい、今月のテーマにもありますが」

 

高齢になって、体力的な衰えはあるとしても、たとえば、ロボットとかやっていて、色々出来るようになっていく喜びは、年いっても同じかな?って思う。一人では、最初は踏み切れなかったけれど、一緒にやることによって、やってみたら、あー、けっこう面白いなということが、色々発見できたらいいなー。
若者と、年配の人が一緒にやって、お互いに、やりたいことが増えていく、みたいなイメージかな。
それが、負担にならないか、の境目がちょっと気になる。できるようになってくる喜びより、負担が勝ってくると、やりたい意欲も消えていくから、そこのへんの見極めが、回りとか本人とか大事なのかな。
出来ることについてはいいと思う。「出来るけど、ちょっとやめときます。」みたいなのが、簡単にできるようになると、物事色々、覚えていくことに、ハードルがあんまりない感じで。まあ、今時間があるから覚えてみるわ。で、次もやって下さい、って必ず自分の仕事にされてくると、押しつけられると嫌になってくる。キツいと思うから。
やれるようになっていくのは嬉しいと思う。
あと、完全に若者の仕事、高齢者の仕事と線引きしないほうがいいのかな。した方がいいこともあるかもしれないけれど。年いったからってやれることが減っていくっていうよりは、やれることが増えてくるっていう方が、面白いんじゃないかなー。

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「栄一君、ありがとうございました。春日山酪農部も栄一君が帰ってきて、又、若い人と、年配の人と、見合いながら、新しい動きが生まれてきそうで、楽しみです。」

聞き手 春日山実顕地 稲井ゆかり