堀田俊夫様を偲んで

　堀田さんが二年半前に自然に還られた報に接した時、大きい星がひとつの流れ星になって、宇宙にとけこんでいかれた思いで一杯でした。  

　この度、「堀田俊夫論文集・幸福論の基礎」を戴いた時、一緒に過ごしたヤマギシの村での楽しかったことを越えて、こんなに大きな中身の濃い、頭脳明晰な堀田さんの文章に接し、私の力量で真剣に拝読し、堀田さんの命をかけて幸福論を生み出された心を活かし、志を引き継いで生きて参ります。  

　堀田俊夫論文集幸福論の基礎を拝読し、堀田さんが特講を受けられ全人幸福社会の実現に向かって生涯を捧げられた姿に敬意と深い感動を覚えました。  

　ヤマギシズム東京実顕地を目指して進出した始まりは、土居さん夫婦・久保田さん夫婦・川口さん夫婦・渡辺夫婦が、堀田さんの家を開放されてヤマギシズム生活府中実顕地としてスタートしました。  

　堀田さん御夫婦は子供さん達と共に一体家族として迎え入れてくださり、物心共に大変協力してくださったことはヤマギシズム運動の中で終生忘れることは出来ません。その時の幼いお子さん達が立派に成長され、耕介さんの「父と私」を拝読し、すばらしい後継者として育っておられる姿に、堀田さん御夫婦の宝物として、全人幸福社会づくりが着々と進むのを感じます。  

　思えばヤマギシが東京へ進出して、「思想の科学」の鶴見俊輔様にお会いしてヤマギシの特別講習研鑽会へおさそいしたら「いきますよ」とおっしゃられ、早速、春日山実顕地へ参観に来られ大変感動して「思想の科学」に発表され東京工大の川喜田二郎先生や永井道雄先生を紹介してくださり、早速、川喜田先生にお会いしてヤマギシの特講をすすめましたら「いきますよ」とおっしゃられ「鳥葬の国・秘境ヒマラヤ探検記」という当時ベストセラーになった著書をプレゼントされました。  

　早速、特講を受けられ、私も世話係として御一緒させて戴きました。「実践の書」の研鑽も、そうだそうだ、その通りだとすいすいいかれるので一寸心配になって、腹の底からそう思っているのですかときいたら「そうですネ」といわれ学者達（水津先生）も納得しておられるようでホントカナと思いましたが、一週間終り、ほんとうにすばらしい良かったと仲間を特講に送ってくださいました。すべて賛成だよといってＫＪ法を生み出されて、堀田さんも参加され川喜田先生と共に大活躍されたのでした。  

　堀田さんも特講に参加され、実顕地に参画されて、山岸会本部事務局で、私も御一緒に私は研鑽部で堀田さんは総務として特講世話係をやらせてもらいました。受講者の心境が変化していく現場に立ち合い、感銘を受け、実顕地の一体生活と共に特講の進行係の体験をより深くヤマギシズムを究めていくきっかけになったのも堀田さんらしさの現れでした。  

　特講中の堀田さんの持味はすばらしく、どんなに反対意見が出た時もその人の心に寄り添って、聞いて聞いて研鑽によって新しい世界を切り開いていかれた姿に感銘しました。  

　奥様の美里さんの、論文集刊行にあたっての命をかけての夫婦一体で人間の幸福論に向かって堀田さんを支えて来た姿に頭がさがります。  

　「七十一才のわが思想」毎日楽しくて仕方がない、皆にこの楽しみを味わってほしいといつも話していらっしゃったそうです。  

　ヤマギシの特講を受け、参画が大きかった。無所有、無報酬、共生、共活の一体生活が出発点となったのですね。  

　堀田さんの手がけた別海実顕地用極寒鶏舎づくり、集卵等も外へ出ないで連間ドアを通って仕事が出来るようにしたことなど、持味を生かしていかれたのです。  

　東日本大震災があり、何もかも根底から考えなおさなければいけない今、主人の夢が一歩先進んだのではないかと美里さん。堀田さんの意志を引き継いで生きていかれるのですね。  

　ヤマギシズム実顕地が生まれて五十年以上になって来た今、私のやりどころはほんとうのところを研鑽によってやりつづけていくこと。すべての人の意志、幸せに暮らせる社会づくりを、これからも研鑽によって次へ次へと繋いでいこうと思い、自分の出来るところから一体生活の中身を無我の境地でやりたいです。