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実顕地一つの運営(7)


実顕地一つの運営(7)

新しいことを楽しくやっていく

形から入った実顕地生活の見直し

実顕地の介護環境を考える

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7月、新任に就いて新しい月がスタートしました。
今回豊里で開催された養鶏法は、始まる前から大きな話題になっていました。
豊里衣生活から6人を送り出すというかつてない養鶏法で、段取りの見通しも立たない中スタートしました。そんな衣生活に、養鶏法をはじめ、あの人この人と入り合っていく中で、送り出した衣生活の人から、どんなことがあってもとにかく仲良しでやっていこうという明るい姿が伝わってきたそうです。
期間中には、半年前に新しく始まった鮮魚についての話題や実動も多く、ファームでの鮮魚まつりも2回ありました。ファームで余った魚を引き取って美味しく食べていきたい、ということから「魚は食生活に来るのではなく、豊里実顕地で受け入れていこう!」と連絡研や実行研・各職場の出発研などで盛り上がり、受け入れが実現しスタートしたことで、一層心が寄ってこれからのひろがりに楽しみを感じます。
また養鶏法では、磯部農場へ遠足へ出かけたり、帰りに寄れなかったコンビニへ今から行きたいと夜中にみんなで向かったり、雨前適期のスモモ収穫、緑地公園ウッドハウスでのお誕生日会、暮らしや職場での一コマで色んな味わいがあったそうです。『新しいことをやってみよう』その人の中ではのれないと感じたことにもまずはのってみたり、ポンと肩をひとつたたかれただけで気持ちが動いていったり、新しいことをやってみることで新しい自分を発見した味わいなどが伝わってきました。
まず一緒にやってみることで人と人とが近くなり、心が動き、そこから広がっていくもので村づくりも進んでいくようです。
『ふとしたことに本質があらわれる。日常ささいな心の動きを通い合わせることが大切。あり方にそって実顕地を造っていくのでなしに一人一人のフッと思い浮かんだ気持ちで、できていくのが本当』(実顕地用養鶏法研鑽資料より)
心の動きを通い合わせることから生まれてくるもの、そうしようとしなくてもできていく絶妙さにヤマギシの村づくりの一面を感じます。

日頃の暮らしの中では、実顕地生活とはこういうもの、と形から入ったものがたくさんあるのではないでしょうか。たとえば愛和館での暮らし方、提案と調正、洗濯物の出し方、全てを実顕地生産物で、研鑽会へののぞみ方、仲良し班の一員となる、涵養日は週に1回としているなどなど。
3年位前より、供給活動がヤマギシファームへと移り変わってきたり、実顕地間の人や物の交流が盛んになってきました。毎月の全国実顕地づくり研へと一堂に会する機会が増えたことで、実顕地一つからの出発・実動・運営と実顕地の運営自体も大きく変わってきました。
そんなふうに、人と人とが寄った中から生まれてくることは、あり方からだけではない、心が通じ合った、一人ひとりの底に流れるものからの発露のように思えてきます。形が大きく変わっても、変わらないもの、実顕地づくりとは何かがおぼろげながらみえてくる気がしてきました。
どのような実顕地をつくっていきたいのか、どんなお互いになりたいのか、そんな観点で実顕地生活のあり方や、形から入ったこと、今までこのようにやってきたとか、これが正しい実顕地生活、ということも一から見直していきたいものです。

世の中は、「介護離職」「介護疲れ」「もう親を捨てるしかない」とかが、連日紙面を賑わせていますが、ご多分にもれず、実顕地でも高齢者が増えてきました。各実顕地でも、「親が実顕地以外で生活しているので、介護しなければならない」「介護しなければならなくなった親を子供のいる実顕地に移動したい」など、温度差はあるものの、介護について話題になることが多くなってきているようです。実顕地で介護についての研鑽会をすると、各自からそれぞれの家庭の事情などがたくさん出てきて、これからの実顕地を考える意味でも面白いようです。「ゆりかごの前から墓場の後まで」とか「天寿が近づく程待遇がよくなり」といっていますが、実顕地のこれからの介護のあり方についても考えていきたいです。社会のあり方、親子のあり方など、介護のことを通して見えてくるものも多いようです。

実顕地研鑽部