ページを印刷 ページを印刷

高川美枝おばあちゃんへ~弔辞


高川美枝おばあちゃん

 今日の美枝さんは少しやせて色白の優しい顔でしたね。
私が美枝さんと一緒に選卵していたのは35年位前だったと思います。
美枝さんはふっくらとして元気なお母さんでした。

 まだ今よりは、若かった私たちは朝から晩まで、小さな子どもを見ながら夢中になってやっていた頃です。今思えば、自分がやっていたように思っていたけど、いろんな人たちに助けてもらってやっていました。

 その村のお母さんの一人が美枝さんでした。私たちは「高川のおばちゃん」と呼んでいました。

 山と積まれた卵の中で、私たちがヒィヒィと言っている時でも、高川のおばちゃんはスパッーとたばこをふかして悠然としていました。

 その姿を見るたび、私たちはほっとしたり、頼もしく思い、自分の器の小ささを感じました。
口も決して優しく丁寧ではありません。きっぷのいい、むしろ女としては荒々しくぶっきらぼうな口調ですが、その言葉の中に、優しさがしみじみ伝わってくるようでした。そばによると温かかったです。

 子どものことで悩んだり、仕事のことでぶつかりあったりしていた私たちを大きく包んでくれるお母さんでした。
いつかあんな風になれたらいいなぁち憧れたりしましたが、なかなか年をとってもそうはいかないものです。

苦しい時はあんなに身近に居た人なのに、いつの間にか遠のいてしまった事を申し訳なく思っています。

 今もおばちゃんの元気な声や姿が浮かんできます。
こらからも、いつでもはっぱかけて下さい。
私たちを見守ってくれた美枝さんにおばちゃんに昔の選卵仲間を代表して、心から感謝しています。ありがとうございました。

【豊里実顕地 村中導子】