フリーに!
春日山の中野さん(84才)はアルツハイマー病を発症して、かれこれ5年になります。
穏やかな進み具合でしたが最近急激に進んだような印象をうけます。
ちょっと前までは春日山実顕地内の陽光館周りや、春日口までのメイン道路の途中位までは、一人で散策して帰っていたのです。最近それもままならない感じになってきました。
GPS付きの靴も用意しているのですが、外に出たい気持ちはあっても、今はちょっとその元気が出ないようです。そんななか、排せつもなかなか難しくなってきました。
老蘇介護の人達とは本当に、近しい信頼関係が結ばれていて、ここまで、任せられるんだと、よく知らない私からみたら、びっくりするようなことばかりなのです。
先日、こんな事があったの、と老蘇介護部の妙子さんが話してくれました。
最近、薬が変わったこともあり、足元がおぼつかない歩行でもあるし、頻繁にトイレにたつので、
何気なく「座ってしたらどうですか?」と声をかけたそうです。
もともと、穏やかな人で、いつでも人の役にたちたいと思っている中野さんのこと、
「そうだね」となる事もあるんだそうです。でも、その時は
「フリーに!」と言ったそうです。
「思わず,ハッとしたわ」と妙子さん。
私は介護する側ととらえてしまうと、良かれと思って、何気なくしている会話や行動が、
相手の気持ちからすると、意外と盲点になっていることが多いようです。
本当に、共に生きるお互い様のあなたと私なら、どういうことになるのだろう。(むらネットの松本礼子さんのコメント)
礼子さんにも聞いてみました。
「『相手の意思を曲げないで』お互いがどれだけ言いたい事が言えるか?サラッと明るく。そこまでには、お互いの間柄なんだけどね。」
「私がそうしてほしいの、と真正面から向き合ったらその時はそうなるわ、継続はしないけど」とも。
このテーマを考えると深みにハマる。
スイス実顕地交流に出かけるに際して、新書4冊を買いました。
その内の一冊「脳が壊れた」鈴木大介著、新潮新書を機中で読み始め感銘を受けました。
「2015年初夏、41歳で右脳に脳梗塞を発症した僕は、身体への後遺症は軽かったものの、いくつかの高次脳機能障害(高次脳)が残ってしまいました。」と始まり、発症前後の経過が克明に書かれています。
そこから育児や介護のテーマにもつながり、いわば介護される内と外から経験や課題が書かれているのでおすすめです。