ページを印刷 ページを印刷

バイオガス発電 Now!【別海】


醗酵タンク

醗酵タンク

5月下旬に建設工事が始まり、3カ月経過した現在の姿です。

原料槽、発酵槽のコンクリート工事も雨が少なかったこともあり順調に進み発酵槽の外壁も張られました。
今は受入槽、管理室、固液分離施設の基礎工事、ピットや配管、配線の地中埋設など関連設備の工事が並行して急ピッチに進められています。寒くなる前に糞尿を溜め始めたいため、11月の完成を目指し追いこみ作業が続いています。

まだ工事のネタしかないので、今年、農業共済新聞に連載されていた佐賀大、染谷孝教授の“土の微生物”の記事に多くを拝借し、知っているようで知らないメタン菌を別海風味付けで紹介しましょう。

村人には大変理解しやすい内容だと思いますが さて?

“小さな巨人”のはなし

メタンガスを作るのはメタン生成菌です。この菌、実は大変な「偏食家」で“これは食べたくない!あれも嫌だ!そっちがいい!”と何かと扱いが難しいのです。

「最近よく見かけるタイプだなァ―!?」

もしもし、勘違いしないで下さい。メタン菌の話ですよ、メタン菌の。

この菌は水素と二酸化炭素、または酢酸かエタノールなどしか食べません。エタノールを栄養源にするのは自分のビール腹を眺め納得できますが、水素と二酸化炭素とは“じぇじぇじぇ!”です。二酸化炭素は糞尿の入った発酵槽にたくさんあります。

では水素や酢酸、エタノールなどは牛の糞からどのように生まれるのでしょう?

それでは、“小さな巨人”たちの素晴らしい世界に案内しましょう。

水素は、水素生成菌が酢酸や乳酸から作ります。
酢酸は、酢酸菌がグルコースなどの糖類を栄養源にして作ります。
乳酸は、乳酸菌がグルコースから作ります。
エタノールは、エタノール生成菌がグルコースから作ります。
そしてグルコースは、でんぷんからでんぷん分解菌が、或いは牧草や稲ワラなどの主成分、セルロースからセルロース分解菌が作ります。

ここで日頃の仕事で馴染みの名前が出てきました。
糞中には与えた餌の未消化のセルロースやでんぷんが残っています。

「こんなに繊維の多い草だと糞ばかり増えて乳なんか出ないよ!」
と春日山の某乳牛担当者が研鑽会でよく叫んでいます。

メタン生成菌だけいてもメタンガスは出来ないことがよくわかります。
メタン生成菌を最終走者にした、多くの微生物たちの連係プレーで初めて可能になる、いわば「微生物駅伝」だと染谷教授は言われています。このことをよく理解せずいい加減に扱うと“たすき“は上手く繋がらず、メタン生産効率が悪くなるわけです。

“イズムはリレーです”確か・・・むかし聞いた記憶が微かによみがえります。

2014年は別海実顕地創立55年になります。

バイオガス発電設備を最高の状態でスタートさせ、節目の年に花を添えるべく一同研鑽を重ねるとしますか。

【2013年9月 別海実顕地酪農部 荒木靖】