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みんなが気になる実顕地運営(4)


みんなが気になる実顕地運営(4)
 
研鑽会をすることによって・・・
 

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桜のつぼみも膨らみ花便りが各地から届くとともに、豊里実顕地で開催された特講の様子もいろいろな場を通して伝わってきました。
豊里で特講を開催することが決まったのは、開催の約一週間前のことでした。さっそくの準備研には多くの人が寄ったそうです。準備を進める中で、会場はどこにしようか、みかん園の旧健康特講会場?愛和館の3階はどうだろう?食事はどこでしようか、3階まで運ぶ?愛和館で食べたらどうだろう?更衣室の間仕切りにこんなついたて使う?お風呂の時計は外したけれど、愛和館の時計はいいの?あそこにもここにも時計がある・・日ごろ決めつけのない持たない生き方を、という自分たちがいつの間にかしっかりと持っているひとりひとりの「特講」に気づかされる機会にもなりました。特講は人気のない山の上でするもの、特講生にうっかり会って邪魔をしてはいけない、特講では時計を置かない・・などなど。
特講生を迎えいざ特講が始まると、会場の愛和館の3階に灯る明りに重ねていくものが一人一人の中から湧いてきたり、出発のゴールインスタート研を村人も共にするなかでの味わいなど、日常の暮らしや職場の中ではなかなか難しい観念を変えるということが、研鑽会をすることによって変わっていくようです。

日頃は渦中に入ってしまうと、どう考えたらよいのか、何がテーマなのか、どこを研鑽していけばよいのかが見えにくくなってしまうことが往々にしてあるようです。例えば・・・
・一つでやっていこうと、それまで赤鶏と白鶏の2種類を飼っていたところからみんなで研鑽して赤鶏1本にしてみたが、出荷先に合わせた飼育法の違いに端を発し同じような問題が出てきた。
・ファームで野菜を買ったお客さんから苦情が来た時の、ファームの人と野菜を作っている人のやり取り。
・ほうれん草を出荷すると、ファームからのしおれているとの声もあり、できるだけギリギリに新鮮なほうれん草を収穫したい畑の担当者と、少しでもパック詰めを進めて余裕を持って出していきたい出荷場メンバーのどこかかみ合わない空気。
・選卵センターで選卵をしていると、卵がよごれていたり、殻が薄くなってきたり、小さい卵が増えてきたりとやりにくくなった時の飼育係との関わり、反対に卵が増え選卵が忙しくなった時の飼育係の選卵への関わり。
どの例も身近によくありそうなことばかりです。一人の人として接している時はその人に対して何かあるわけではなく、一緒に楽しく暮らしているのに、部門と部門、または立場などになると、何かしらの違うものが出てくるという意見に時としてうなずいてしまうこともありますが、さて「研鑽会をすることによって・・・」どういう私たちに成り合い、どんな村づくりを進めていけるのでしょうか。
実顕地づくりの中では数十年前から云われてきたことがあるそうです。「私とあなたの間、職場と職場の間、実顕地と実顕地の間にあるものを育てていくことが一体になっていく要素」そして今日も変わらず大切に育てていきたいところではないでしょうか。

先に開催された2月の養鶏法の交流研では、「それまでいろいろと出してきたが、聞くことを意識してみると、ほかの人もいろいろ出していて、そんな話が自分の中にすーっと入ってきた」「若い世代の人も多く参加していて、感性や考え方の違いが新鮮」「自分の本当の気持ちを表さないで遮っていた。こんなことをしていていいのだろうか、という自分の気持ちに気が付いた」などと聞かせてもらい、観念の転換が研鑽会の中で明るく楽しくできていくこと、そしてそこからはじまり広がる村づくりがみえてきました。

4月、子どもたちは新学期、新入・進級の季節ですが、私たち大人にとっても新しい季節を共に進んでいきたいです。

実顕地研鑽部