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実顕地づくり、産業部編


先日、全国酪農部研の終わり頃、豊里の肉牛部の人から
来年の5月に生まれる予定の、春日山の和牛仔牛の値段は今年と同じかと
問いかけがありました。
「そうだよ、相場だよ」
「それなら、いらない」 何か気まずい空気が流れました。
「ほんとにいいの」
「いらない」といって、席を立ってしまいました。
残った人たちは「相場でやるのがイイと思うな」と一致したように思えました。
肉牛の人と「愛和館」であったときにも、「それでいいいの」と聞きましたが、
答えは同じでした。
いやだナー。値段のことで、実顕地の人間関係が変になって、
損得で感情が揺れるのは、もう一つだと思いました。
そのあと、モンゴル研があって、肉牛の人と同席しました。
研鑽会が終わって帰ろうとすると、肉牛の人が寄ってきました。
「値段は、あとで決めるとして、やはり和牛仔牛は欲しい」
いろいろ事情があるようにも思いました。
そういえば、去年も値段のことでギクシャクしたな。
豊里の乳牛と同じだと、値段は安いし・・・・・。

僕は、乳牛部に帰ってから、どう考えたらいいかと、みんなの前に出しました。
「僕は、相場でいきたいし、法人が違うし、安くするのはお互いに良くないと思う」
「数字は数字でキチッと出して、経営をみていかないと駄目だと思う」
「自立したお互いでやっていく、それが実顕地だと思う」
「ネエ、それで、うちの乳牛は成り立っているの」
「充分」
「それだったら、安くたっていいんじゃないかな」
「和牛は気をつかうし、夜中に見回ったり、乳牛より大変なのよ」
「ウーム」
「ウーム」

一度、法人の人にも話をしてみようと思った。
「要は、何がやりたいかじゃあないですか」
「法人が違ったって、一つだし、関係ないっスョ」

法人が違っていても、実顕地間では、値段はどうでも良いのでは。

頭がクルッと廻って
「アッ、タダでもいいや、もともとタダだし」

「上善如酒」(じょうぜんさけのごとし)。チ、チガッタ。
「上善如水」(じょうぜんみずのごとし)
よりよきは、水の如く、変幻自在、低いところへ、必要なところへ流れる。
こういうあり方で、こういう経営で行きたいな。

豊里の肉牛が繁栄する、そして共に繁栄するのが、春日山の乳牛の願いなのですから。
春日山で生まれた和牛仔牛が、松坂牛となって、世に出て行く。いいよなー。

「ねえ、肉牛の人、タダというのはどうでしょうか」
「来年は来年で、考え方が、どう変わるか、分からないけどネー」

【春日山実顕地 柳文夫】

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