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直送便の現場に行ってみて


14-直送便 026

ファームに買い物に来れない人に生産物を送る直送便が始まって2カ月が過ぎた。
木曜日午前10時、色んな職場から集まったメンバーが二人一組になり納品書を見ながらカートを押し、コンテナに発注品をその人用に集めるピッキング作業が始まる。
衣生活、食生活、肉牛、乳牛、車輌、養豚、太陽の家etc初めての人も短い時間の人も寄って来て一緒にその場をつくる。
「今日はピッキングミスゼロの日にしましょう」「Wチェックは2人でいれてもなりません。違う目で2回チェックです」とピッキング隊長の佐藤さん。
「梅肉エキスは六川と飯田があります。どちらの発注か確かめて」
「トマトジュースは小瓶か大瓶か」
「紅ミカンゼリーとオレンジゼリーは違います」
「山食パン1斤か2斤か」「たくわんとべったら漬け」「ハードヨーグルトとプレーンヨーグルトを間違えないで」

卵は割れないように、牛乳は漏れないように、トマトはつぶれないように、ビンは割れないように、事前にプチプチで包む前準備も整って並んでいる。
聞いてみると、それらを包むプチプチは村人窓口がきれいに60㎝にカットしてくれたので出来上がりが早くなったとか。その大きなロールのプチプチを1,2m幅を半分に鋸で切ったのは建設部で、電動鋸は使えず手で切ったそうです。
電話での注文を受けるのは月・金以外は産業事務所でと、納品書の入力は蔬菜の美穂さんがとか、生産物が並ぶまでの知らないところでの繋がりがいっぱい。
卵パックにプチプチシートを巻いていたメンバーは「今日は30分で終わっちゃった。数は増えてきているけど、毎回早くなってきている」と話していた。
過渡期ならではのトラブルが次々起こりながらも、それが次の手に繋がり、毎回進んで来ているのが分かる。ファーム買い物用の手押しカートに板を付け、大きなコンテナを載せても滑らず、手早く生産物を集められるように改良したり、どうして行くかどうあったらよいか、思ったこと、アイデアを出して簡単に打てる手を探しながらやる楽しさ、活気が伝わってくる。
一番心に残ったのは偶然その場にいて、みたクレーム電話対応での場面で、
「本当に申し訳ないけど、送れません。すいません」と話す成瀬さんの姿。
私ならすぐに「ごめんなさい。なんとかしてみます」とか言って相手を混乱させてしまいそうだけど。
今できることと長期的なテーマとを一緒くたにせず、できないことはできないとはっきり伝える姿勢に、何かを進める時の厳しさを感じ、楽しさと、その両方ともが実顕地つくりそのものなんだろうと思った。

午後箱詰めにも人が集まり、業者の集配便に間に合わす。

豊里実顕地 喜田栄子