ページを印刷 ページを印刷

実顕地一つの運営(10)


実顕地一つの運営(10)

日常のささいな出来事を題材に、研鑽会にしていく

印刷 → 実顕地一つの運営(10)

 

先日、村ネットに「シャンプーを替えましたが」という豊里衣生活部の出来事が投稿されていました。日ごろ実顕地では、毎日のメニューの決め方から、味付けの仕方、お風呂の湯加減や部屋の冷房温度、車の使い方など、一緒に暮らしていく中で、それぞれの意見や考え方の違いが、様々な場で現れてきます。日々の暮らしの中だけではなく、産業や運動の面など全てにおいて同じことがいえるでしょう。
今回のシャンプーを選ぶ話でも基本的には「衣生活部の人に委す・委された」というところからでしょうが、結果的には様々な意見が出てきて、さてここからどう一致点を見出していけるのか、というところのようです。
通常、意見の違いは、上下関係や妥協・多数決で決めたり、また、そこには触れないようにするなどと、ヤマギシでいう一致点を見い出していくということとは異うようです。
「反目をなくし、親愛・和合の社会気風を醸成し、何かしら、会の雰囲気そのものが楽しくて、寄りたくなる機会ともします」とあるように、ヤマギシズム実顕地の根幹は、やはり研鑽です。特講で味わった、様々な人が集まり寄って、研鑽することの楽しさ、驚き、おもしろさは、心に深く残っています。その研鑽の醸し出す雰囲気こそ、実顕地を構成している大切な要素ではないでしょうか。
研鑽会について、つぎのような資料があるそうです。
<研鑚会>
○分からないところから出発して、皆で探求していくところにある。
○研鑽の一致点は、もとの姿をとどめない、まったく新しい創造されたもの。
○これが正しいからやる、間違いだから止めておくということをやりとりする前に、いずれが正しいということを研鑽していける状態と、そういう社会であり、そういう関係である、そういう自分であるような、ところの大事さ。

衣生活部の例から、次のようなことを切り口として研鑽し考えていけそうです。
・物事を決めるときに誰が、どこで決めるのか、決めたとしても固定していない
・いろいろな条件や要素の中で何に重きを置いて決めていくのか
・私、私の職場からそう見えることも、違う立場や角度からはどのように見えるのか
・今までこうしてきたからと止めているものはないか
・部門と部門の間にあるものはどんなものか
・「一つの運営」と「専門分業」との関係は

またある実顕地では、毎年恒例で続けてきたお彼岸のおはぎづくりをどうしていこうか、ということが話題になったそうです。
研鑽会で食生活の人からそのことを出すと「ヤマギシでは、寄ってやることで楽しんで、それをまたみんなで味わって食べる、と思ってやってきたのでやめるという選択肢は自分の中にはない」という意見も出されたそうです。季節の行事などみんなで寄って楽しめるのは、大家族ゆえの醍醐味でもありますが、いつの間にかヤマギシではそうするもの、やることが良しとしているものがあるとすれば、そんなあたりも考えていきたいことに思えてきました。
先の投稿の文中に「次はその中味のシャンプーを変えるというところに取り掛かりたいところなんですが、それまでの道のりは遠いんだか、なかなか決まらないのか、研鑽で進むのか、楽しみの気持ち半分ため息半分の感じです」とありますが、研鑽が進むための要素、進めたいものとは何でしょうか。そこを紐解くと、日常のたわいのない色々な意見の違いがあればあるほど楽しくなってくるようです。
シャンプーの中身をどうするか、おはぎを作るか作らないかという現象面や結果よりも、そのことを通して育まれていく過程、いつでも本当はどうなんだろうかと探っていける態度や私達の間柄を大事にしていきたいものです。
日常のささいな出来事を題材にして、それをいかに研鑽会にしていくかが、実顕地をつくっていくことになっていくようです。

実顕地研鑽部