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地域社会の中での
ヤマギシの畜産
【後編】



 先日会員の集いで開かれたシンポジウム、『地域社会の中でのヤマギシの畜産「現状と今後」』を、前編にパネラーの発表、後編に質疑応答の2部に分けてお伝えします。

 後半は会員さん達とのやりとりから、ヤマギシの畜産の現状と今後です。

 「飼料稲とか発酵飼料に切り替わって牛への影響は?」 から始まり、「いい肉って?」 「何でも食べさせていいのか?」 「副産物はただですか?」 「 お値段は?」 「豚肉の白身が多いのでは?」
 

「どうにかならないの?」

等々。

 思わず答えに詰まるような質問や、飛び入りで応える人もありのやりとりで、時間を忘れて聞き入りました。
これからの課題も見え、一つになってやっているからこその真価を再確認しました。

【テープ起し:豊里実顕地 喜田栄子】

シンポジウムテーマ

地域社会の中でのヤマギシの畜産

【前編】パネラー発表

  • 日々進化変化の畜産 …………… 豊里産業部 平本和之
  • どういうことがあっても、それに合わせて牛を飼う面白さ          …………… 肉牛部 高橋護
  • 豊里でしかないような牛の餌 … 乳牛部 村岡悦史
  • 新たな試みをしながら ………… 養豚部 生原秀幸
  • 総ての物を生かして行く ……… 飼料センター 井波茂樹

【後編】質疑応答コーナー


【後編】質疑応答コーナー

ここまで聞いてみて。

村岡さんにお聞きしたい。輸入牧草から稲ワラにかなりの割合で切り替わって、牛自体の嗜好性とか乳質がどのように変わったか。

村岡:嗜好性については輸入牧草よりもむしろ飼料稲の方がいい。飼料稲はいい香りがするんです。

これは、乾いた輸入牧草より牛にとってはどうも美味しく感じるみたいで非常によく食べてくれます。

成分の方で顕著に表れたのは、乳脂肪とか乳蛋白とか要するに乳成分が濃くなりました。

味についてはどうかな?僕なんか美味しく牛乳を飲んでいるのですけど、毎日飲んでいる方がいたらその方たちの方が感じるかどうか分かりませんが、なにしろ飼料稲使うようになってから、濃い牛乳になっています。

平本:村岡にいつも言っているのですが、ちょっと中身がここまで濃くなくても、(笑)もうちょっと稼ぐこと考えてよ、量出すような中身の設計できないのかと。

ここ2年間位濃いです。特に昔は輸入牧草使っていた時期はね、夏が大変だったんですよ。どうしても薄くなってしまって。

今夏でも他の季節と遜色ないような牛乳の中身になっていて、本当に濃いです。

サイレージをやる時は牛が飛んでくる

高橋:肉牛でも繁殖と言って、お母さんの牛にワラとかサイレージをやるのですが、サイレージだけでやる機会があって、サイレージをやる時は牛が飛んでくると社員さんが言っていて、牛舎に近づくと牛が並んでいる、匂いだと思うのですけど。

飼料稲というよりも、いい乳酸発酵している餌が牛にとっていいのじゃないかな。

飼料用稲収穫用ベーラー

これは集める時の天候とか関係するのですが、今飼料稲は立ったままで収穫できる機械があって、コンバインを改造して後ろにロールベーラができる機械が付いていて、後ろに写真があるので見て頂ければいいのですけど、すごく質の安定した物が収穫できるのと、牛の成績に繋がっているのではと感じます。

いい肉というのは血液検査かなんかで分かるのですか?

高橋:難しい質問ですね。

いいお肉の世間で言う評価は、格付けと言って赤みの部分に霜降り、脂肪がきめ細かく入った物が見た目もきれいだし、そういうものが高く取引されているのが一つ、それは見た目。

味とかは全く別で、最近はそういうことにも着目していく方向で、先日長崎であった全国和牛共進会でも、不飽和脂肪酸の高いほうが美味しいとされていて、それを測定して一つの基準にして順位を着けたのですが、実際にはそれよりもサシの入り具合で値段が決まるというのがあるかもしれません。

肉の味とか肉の仕上がり具合は餌がすごく大きく影響している感じがしていて、今年先程から出ているように大きく餌を変えていて、肉の味がどうなっていくか非常に興味があります。

実際にその餌を食べ始めて、その牛が育って肉になるまでには30ヶ月近くかかりますので、まだやり始めて8ヶ月10ヶ月、もう少し様子を見ていたい・・・。

食品副産物はただですか?
確かにヤマギシの豚でも牛でも美味しいのは確かで愛用しているんですが、お高いのですよね、値段が。

実際に育てていらっしゃる方たちは、ご自分たちの売られているお肉の値段とかご存知なんでしょうか?

願わくばもう少し安かったらといつも思うんです。
この辺りはどう考えているのか聞きたいです。(笑)

平本:えっ僕?

値段のことについてですけど、概ね高いなと言うのは認識しております。

飼料センター
「流動的な副産物に対応」

だからって、僕たちがそんなに贅沢な生活をしている訳じゃないのですけど、今話を聞いていると副産物の安い原料を使って畜産をしている様にも聞こえるのですけど、実際はなかなか、色々話したように分かると思うのですけど、パンですとか、オカラですとか、麺屑とか、餃子の皮ですとか、色々な物が来て、こんな物あるけど使えないか、これだったらいくら位で使えるのかとか、なかなかほいほいと言うわけにはいかなくて、栄養的な問題、バランスの問題もあるし、だいたい生で、1日置いていたら腐ってしまうような物が殆んどです。

こちらの要望した量だけ来る訳でないですから、工場の方でなんか事故があると10t20tどばっとまとめて来たりとか、ない日はあんまりなかったりとか、季節によっても変動するし、要はそういうものに毎日毎日こちらも対応して変化していかないと使いこなせないですよね。

それが僕たちのやっている畜産の面白さでもあるのですけど、牛で使えなかったら、豚使ってもらえないかとか、鶏の部門に声掛けて、今月なんとかこれだけ使ってもらえないかと日常、常に対応しながら夫々の立場で協力してやっていかないとこういう物は使いこなせない。

一つになってやろうとするからこそ

だからそう簡単に真似できないというか、牛もいて鶏もいて豚もいて畑もあって、果樹もあってそういう各部門が一つになってやっているからこそ、そういう色んな物、色んな量、変化に対して一つになって何とか一緒にやって行こうということで、使いこなせるのであって、聞いていると安くてそんなにいいものが一杯入っていいなぁと、聞こえてくるかも知れませんが、なかなかそれを使いこなせるだけ対応力とか技術とかそいうものは、長年の年月をかけてやってきて、しかもその中で、より美味しいものを、経済的にも効率よく生産できるものを考えてやっていかないと、今日本の社会の中での相場に見合った生産物というのは作って行けませんから、今の値段が今の私たちの実力と言うか、そういうことで叱咤激励されるのですけど、経済性ということでも、もうちょっと色々取り組みながら一緒にやって行きたいと思います。

A5の肉の話が出たのですけど、A5と言うのは牛の等級なんですか?どの牛にもA5という部位があると思っていたんですが。

もう一つ乾燥させるのに石油とか電気とかエネルギーがいると思うのですが。

高橋:Aと言うのは歩留まりの評価で、5と言うのが格付けの中の脂肪交雑とか肉質とかのランクで、A5というのが牛肉の格付けの一番いいやつです。

枝肉って牛を屠体にした状態でそれが格付けされて、A5の牛は全部A5、ミンチになる部分もA5、部位と言うことじゃなくて、牛1頭がA5のランク、余りうちでは出ないのですけど、昔は宝くじみたいな感じだったのですけど、最近はまぁまぁちょくちょく出るんです。

うちの子牛を買ってくれている人が、今年は調子がよくてA5が9割くらいと言っていました。ちょっとビックリしました。

そこの農家の人は、100頭いたら90頭くらいヤマギシの子牛。

大変気に入って、10年以上買い続けてくれています。

井波:乾燥って、我々としては、まずはそのまま使える飼料というので取り組んでは来ています。

それ以上置いておくと、腐敗するものに関しては乾燥の方向で保存できるような形をとっていますが、まず最優先はそのまま使う、エネルギーを極力使わない方向でやっています。

経済性をどこのメーカーさんも考えられますので、豆腐でしたら、毎日出てくるロスの行き先が決まっていないと製造が止まってしまうんです。

おからをどこで引き取ってくれるかはっきりしていて、そこが上手く活用していたら製造メーカーは安心して豆腐が作れるんですけど、行き先が決まってないと作れませんので、一時は乾燥の方向へどのメーカーさんも流れたんです。

エネルギーは使うのですが、それなりの値段にして経費がかかっても、全部上乗せして乾燥したものを、乾燥オカラの品名で流し始めたのですけど、安定してそのものが出て行かないんです。

例えば輸入物の大豆粕とかと比較すると内容が落ちますので、安定して売れて行かないために、製造メーカーはまた考え直すんですね。安定して出て行く方向へ。

生のまま引き取って貰えるのが一番経費がかからないので、そこを最優先に考えているのですけど、全国的に見たら生で使ってくれる所はそうないです。

畑でテッタ―をかけ乾かす。

高橋:牛の餌でいうと、ワラとか牧草は陽に当てて乾かす、田んぼの中でそのままだと少し水分があるので痛んじゃう、テッターという熊手みたいな大きな機械でくるくる回して散らすと、天気の良い日だったら一日置くとすごく乾きます。
そうしてから集める。

井波:我々はオカラを乾燥せずにそのまま活用して発酵させて使っています。発酵飼料として使っています。

空気を入れない密閉した状態での嫌気発酵。これは漬物と一緒です。乳酸発酵のオカラになるのです。

それを40日間置いて、それ以上発酵が進まない状態まで発酵させて、それを使うと乳牛の方でも先程の話、50キロうち20キロ入れていたら他の餌も痛まないのです。

人間も発酵が話題になっていますが、牛が既にずーっと食べているのです。

一日今生産しているのが、1つのロールが700キロで、50個、35トン分を毎日作っています。
それを、40日間置いておかなければいけないので、50個×40日2000個は今置いています。
それを乳牛、肉牛、春日の乳牛、養豚も使っています。

発酵オカラを食べるようになって牛とか豚はなんか変化とかありましたか?

村岡:乳牛は微妙な生き物で餌の変化とかにすごく体調、乳量、乳質に影響する難しさがあって、餌に関してはかなり安定した物を1年365日与えて行かなければいけません。

以前からオカラは好気性発酵、簡単に発酵はするけど、傷みも早い、そういう形態では使っていました。
ただそれは、品質的な面で安定性に欠けるというのも配慮して、量的にはそんなにやっていませんでした。

50キロ餌に7キロ・8キロ程度で、その位なら何かあっても許容範囲やっていけるという判断で、そういう餌の組み立てをしていました。

オカラを主体とした
発酵飼料。

乳酸菌を使った発酵飼料ができて、封を開けても1週間2週間全く痛まない、不思議な餌でなぜだろう。乳酸菌の塊じゃないだろうかと後付でいろいろな先生とか説明しようとしているのですが、実際のところよく分からないけど、すごい物ができた、そういう餌なんです。

製造が稼動して実際使ってみたら、いくらやっても牛が受け付けてくれる、むしろその発酵飼料を混ぜることで餌が変質しないという感じになってきました。

牛は豚とか鶏とは違って胃袋が4つある特徴があって、大きな第一胃で一回食べた餌を発酵させてエネルギーに変える。

ここでは、繊維分を分解して肉や乳に変えます。
繊維を分解して肉や乳に変えるためには、乳酸菌やいろいろな微生物が活躍してくれるのですが、そこの第一胃の微生物層をいかに安定させていくかが、乳牛や肉牛にしても大きなポイントになるのですが、今回発酵飼料を入れることで、牛が食べる前に既に発酵が進んだものを更に牛が食べて、更に微生物を安定させていく、そういうような作用、仕組みがどうもあるのではと推測ですが。

餌、牛が安定してきた実感があります。
うちに限らず、発酵飼料を使っていこうかという酪農家は出始めているのですが、実際は現場でやっていることが先行していて、それに対して大学とか研究機関がなんでかなと逆に注目を集めている。

そういう順番で進めているというか、継続してやっている状況です。

私も生産物を食べて40年近いです。肉の質が上がってきましたが、

豚がどうしても脂身、白い部分が多くて、これは何時になっても変わる傾向がなくて、ベーコンでもロースでも市販のは赤身が多くてきれいです。

その辺今後、食べて貰う人の事を考えて何か考えとかありますか?

福崎:それ聞いたら黙っていられません。

私は、牛肉や豚肉の精肉をやって60年、ヤマギシに来て30年なります。

豚も牛も白身の多いほど味は美味しい筈です。

ヤマギシの牛肉の色が黒いのは餌の加減だと思います。
味は変わらないけど、見た目が少し黒いのはワラとか草を多くやっているからじゃないかと、肉屋さんの総合で考えてそうだと思います。

豚の白身の多いのはもち豚というのが一番多いです。
それは穀物を多く食べさせたらそうなります。白身を除いて赤みを食べると美味しいはずです。白身を除くとその代わり値段が高くなります。

「それ聞いたら黙っていられません」と福崎さん

牛肉も同じです。
料理する時は、白身の付いたまま煮炊きしてください。
そしたら野菜や他の物まで美味しくなります。油が多いからと除けると味がどっと落ちて野菜は美味しくなりません。これは、はっきりしています。

豚の場合、ベーコンなんかで油が少ないのはおそらく水豚だと思います。生肉にしたら美味しくない。
輸入する豚はそれが多い。ハム屋さんが作る加工する物は大体輸入物で、水豚で作るから白身が少なくて、バラの所でも赤身が多くて、うちらで作るのは、ちょろちょろと赤身が入って見た目がすごく悪いけど、味の方は絶対違います。

豚も黄豚、水豚、半もち、もち豚とあります。

黄豚は残飯を沢山食べさせたと昔聞いたのですけど、それは臭いです。
水分の多い水豚は、赤身は多くあります。その代わり白身が付いていないので味が悪い。
半もちは、今一番肉屋さんで売っている豚です。
ええ豚を売っている所は値段が高いです。脂を除いて売っているから高くなります。

健康の事とかいろいろありますが、肉屋から言ったらそういうことです。(拍手)

生原:殆んど話してもらったので、今みたいに白身が多いという意見もあるし、逆の意見もあるのです。

色々な意見があって実際問題どうして行ったらいいのかなとあるのですが、一つは豚肉の味は白身にあると思っていて、やっぱり白身は食べて欲しいなとあります。

程度があるので一人ひとりです

飼育の面で言うと色んな豚ができてくるのは事実ですけど、そこを揃えて行く。
揃えて行くと、発育の飼育面もやり易いし、見て行く観察も見やすい、色んな面でやり易くなってくるし、豚もいい健康な方向に向かうし、揃えるのをやって行きたい。

まだ揃っていない肉豚が出てきているので、これからのやりどころです。

弟が乳牛飼っていて、
「乳牛はいつも同じ物を食べさせんといけん」

と言っていたんです。

微妙なところがあるとおっしゃっていましたが、発酵飼料、見たら食品副産物、色々あるじゃないですか、ああいう変わったものを毎日毎日食べるんですか?喜んで食べるんですか?

村岡:人間でしたら毎日同じメニューが続くと、嫌だとか他の物をとなるんですが、こと乳牛に関しては同じ物を食べるのが一番。

豊里実顕地では、色々な動物飼ってますが、乳牛が一番変動なしの餌の組み立てでやらせて貰っています。

これだけ副産物が入ってきてやれるというのは、肉牛とか、養豚とか、肉鶏、採卵系鶏、と、色んな畜種が居る中で変動を最小限に吸収できるというか、バランスよくというか、一緒にやっていることの成果の現れだと思っています。

他の動物も、大きな変動が良い訳ないのですけど、許容範囲がそれぞれの動物によって違うので、色々な物を受け入れて活用していきたい面と、夫々の動物が健康にやっていけるバランスとか加減を見極めながら、飼料センターを中心に総合的にどうしたら生かしていけるかの研鑽の積み重ねで・・・。

料理人みたいな感覚

高橋:そういう科学的みたいなこともあるのですが、料理人みたいな感覚、これをどうやったら上手に食べれるように出来るかみたいな感覚とか、割合や、量そういうものもあり、これと組み合わせたらこの餌が活かされる、そういう感じの事が面白いですね。

うち(肉牛)だったらなんでも食べるよとありますが、他の所は鶏でも豚でも大体毎日同じ餌を食べている感じで、ステージによって切り替えて行くのがあっても、大体同じ餌ですね。

うち(肉牛)はもともと何でも食べてくれるというのと、色々な物を受け入れて活かして行くのがあるので、料理番みたいな感じです。

餌を組み合わせて色々食べさせて行くのですけど、なんか愛がある。ここは研究所じゃないですね。だけど研究みたいな、こういうのをやっているのはここだけじゃないですか?一般農家は?

平本:僕の立場からすると、乳牛も、もうちょっと融通利かせてくれよ(笑)と言う気持ちがあるのですが、失敗したこともいっぱいあります。

実際、牛を見ている立場から言ったら、早々冒険はできないなぁでやっていると思うのですけど、今高橋が言ったように、これをどう調理して食べて貰うかなというのを常に考えているのですが、もう一つ大事なのは、何でも食べて仕事をしてくれる牛、豚、鶏に育てていくのがヤマギシの中ですごく大きな要素で、生まれた時からそういうことで、今の日本社会に貢献できるような牛なり鶏、豚に育てて行きたいなぁとやっています。

井波:いろいろありますけど、主流はトウモロコシ粕とか大豆粕の輸入物です。

例えば、大豆粕でも多い時は年間2000トン位買ってます。とにかく高いのですよ。

このまま輸入ばかり使っていると、今の社会なら倒れること間違いないですよね。

副産物を活用しながら成り立つように考えているんですが、何でもかんでも入れている訳ではないんです。

豚の健康を最大限に考えて、食べる方の安心安全も最大限に考えた中で、ある程度の量が入ってこないと、毎日毎日違うもの使っていたのでは豚さん牛さんの調子も悪くなります。

ある程度年間まとめて入るものを、安心安全面から吟味しながら活用していく現状です。

餌と肉質を見出しながら。

生原:豚でさっきオカラの話が出ましたが、昔から豚にはオカラいまいちだ、軟脂になる、脂が軟らかくなると言われていて、あんまり肉豚には使ってこなかった時期があったんです。

だけど本当かと、一部やってみたら本当だったんですよ。

最後の仕上げの時期にオカラをあげると、やっぱり軟らかくなっちゃうんだなぁと。
精肉屋さんから、しまりがなく扱いにくいと。
豚の肉質に影響するというのがはっきりしたけど使えないというのでなくて、子豚だったらいいのじゃないかとやってみているのです。

肉に影響しないステージで使ってきたらどんどん使えるんで。

組み合わせで、この時期だったらこういうのが使えるとか、使う餌と肉質を見出しながらやりつつある。

何でも食べるんだけども、そのステージステージでこういうのがいいなと探っている感じ。

有精卵で学術卵として大垣供給所から、国立名古屋大学と長浜バイオ大学に週に600から800納めています。

そこの教授がおっしゃるのはヤマギシの有精卵が最高だ、孵化率が99%を超えるこんなに安く有精卵を分けてくれる所は日本中どこにもないと絶賛して頂いています。

畜産関係は素人なんですけど、大学教授とかに美味しさの元を一言で伝えるには、なんか印象に残る言葉ありますか?

健康正常な環境作り。

井波:有精卵でしたら、今も言ったように孵化率が99%超えている有精卵は他にないですよ。

生命力がかなり強いんです。
全国の有名一流大学、東大、京大、名古屋大学の生命科学科という分野がそれを使っているんですよ。

これは我々が目指している畜産も総てそうなんですけど、やはり健康正常、こういう環境があるということじゃないかなと思います。

まぁ平本が一番分かってるんですけど、健康正常な環境作り、鶏の環境見てもらったら分かるんですけど、それが一番の元になっていると私は思うのです。

その上での技術的なノウハウもあるのですけど、後でついてくると思います。
我々は健康正常で平凡な生産物を目指しておりますので。

平本:値段だけは平凡で申し訳ありません。(笑)

今有精卵の話がありましたが、この話を始めると長くなるので、北海道から九州まで一流大学の研究所でかなり大量に使ってもらっています。本当安いです。

特別な卵を出しているわけでなく、供給している1キロパックで送っているんですけど、雛にする卵は、特別な養鶏所で生産されて売っているのですが、そういう所で買うと1個100円位、それも研究所の都合に併せて、なかなか融通して貰えなくて苦労されていたみたいですけど。

「ヤマギシは39円」(笑)

値打ちに嘘偽りはない。

平本:特に卵は一般市場の白玉の値段の倍以上していますから、そういう目から見たら高いと重々分かっているつもりなんですけど、生命力で言ったら絶対高いとは思っていません。

特殊卵と称して高い卵はいっぱいあるのですが、実際生産されている鶏舎を見て、鶏を見て、それを飼育されている人たちの姿から値打ちに嘘偽りはないと言うか、僕たちはそういう自信は持っています。

それは鶏だけじゃなくて、牛乳でも、鶏肉でも、豚肉でも、牛肉でも、同じだけの値打ちがあるなぁと私たち思っています。

牛乳のことで思い出したのですけど、たまに余剰の牛乳を一般のメーカーに持っていくことがあるのですが、基準を満たしているかどうか、必ず中身の検査があるのです。

タンクローリーで持っていくのですけど、運転手がこぼすのですよ。
持って行くと必ず待たされると。
数字が良すぎて検査のエラーだと思うから、もう一回やると、また待たされる。

実際そういう話があって、ここ何年か飼料稲とか、発酵飼料とか、やり始めて僕はもっと乳量出して欲しいと言うのですが、一向に増えなくて中身ばっかり濃くなって、後治療費が減ったとか、種付けが良くなったとか、そういう話ばっかりで、あとは乳量を増やして欲しい、それだけが私の願いです。

野菜もそういうことで畑見に行って貰えたら、雑草は多いのですが本当に豊かな中で作られている。
平凡な野菜ですが味わって欲しいです。

世の中にある物を活かして飼料にして行く、世の中の移り変わりと共にいろんな形でやってみえたんだなぁと伺って感激したのですけど、何十年もヤマギシの卵を食べていても知らなかったのですが、そういう価値を伝えていく意味で、

例えばこういう飼料ならこういう質の肉ができたとか、データーに残すとか、オカラの活用で他の餌が腐りにくくなったとか、

特許を取って行くとか、特許を取る事で世の中に位置づけられて広まっていくのがあるのでは。

資料とか今はどんな形でやっているか知りたいです。

高橋:そういうデーターにするのはやっていないのですけど、三重大学の研究室の先生が来られてサンプルを提供してくれないかとか、飼料稲の関係では県の研究者の方と、この地域では麦と二毛作で餌を作っていこうとやっているのですけど、そういうのを全国に発信して紹介していくとか、事例もこんな風にやっているとか、マニュアルにして紹介するのでこんな内容でいいかとか出たりとか、後ろに掲っているのは、農水省の東海農政局の人が取材に来てくれた記事なんですけど、それはHPで見ることができるんですけど、

そのような形で、うちの取組事例が紹介されいます。

餌の部分では、うちがチャレンジしてそれまで餌として評価されていなかった物を使い出して何年かすると、餌の使用表示とかそういうのに載って来るんですよ。

これに載る様になったとか。
オカラは、昔からうちは使っているんですけど、発酵させて餌にして行くというのは、牛の農家の中では結構当たり前になって来ていて、井波は苦労しているのですが、取り合い状態になっていて、社会の中ではすごくいいことなんです。

オカラが牛の餌になる、それが当たり前になって来た。何年かかかるのですけど、そのような感じで、うちで取り組んできたようなことが世間でもそうなってくるみたいな、そういう風にして広がっていくのかなぁ。
特許は取らなくていいけど。

私は介護の仕事をしているのですけど、日本のサービスを世界へと会社でやっていて、今度中国へ有料老人ホームを日本のサービスでやることになって、目に見えない部分を形に残していくのは、次の代に向けて大事なことかなと思います。

井波さんの話を伺って思うのは、なんかサービスをしているんだなぁって、愛情が感じられて素的やなぁと。

その技術を売れるぐらいまでにして欲しいな、世界に通用していける形態の一つとして、こうやってこうやったら健全な牛、豚が育つ、そんな風に胸張って研究していく、楽しい空気を伝えて行って欲しいなぁと思います。

大失敗したこといっぱい聞かせて欲しかったのですが。

井波:今でも失敗はあります。

我々はそんな固定観念はありませんから、なんでも取り込むのです。

失敗もあるんですが、大体成功して行くのです。
2,3年経つとね。そこら中が真似しているんですよ。

大体ねヤマギシで成功しているというのがすぐ広まるです。
あそこであれ使っているよと、いつの間にかうちに来るものが無くなって、だけど困られている所の話をなんとか受けていこうと思うのです。

だから僕らから営業に出ることは殆んどないです。
すべて相手先から、ヤマギシさんで何とかしてくれないかと話が来ますので、それを何とか取り組んでやっていけば、色んな所のを、僕らがやることが出来るんではと思っていて、大体何も言わなくても真似されています。

去年とその前、飼料稲のこと聞かせてもらって、すごくビックリしたのですけど、今日詳しく聞かせてもらって、研究所じゃないけど研究所のような、そのお肉を食べさせてもらって、ほんと嬉しいと思います。

みんなも食べて欲しいし、卵をよく人に差し上げるのですけど、「有精卵よ」と言うのですけど、今は幸せになる卵です。と伝えています。なんかちょっと宗教ぽい(笑)かな?

だけど、今の話を聞いてみんなの愛、取り組み、思っていることが何をしても伝わる、お肉が美味しいのも、餌に関っている人、色んな人が関ってお肉ができて、本当に美味しいのは餌だけじゃないと思ってそういうのを食べさせて貰える私は本当に幸せ、長生きできます。みんなも食べて欲しい。

まだまだ話は尽きませんが丁度時間となりました。

シンポジウム前半はこちら → 【前半】パネラー発表コーナー