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なまら働きもんだ!牛乳だけと思ってるんだべさァ【別海】


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なまら働きもんだ! 牛乳だけと思ってるんだべさァ
(注)北海道弁のアクセントで

只今の発電量 150 kWh

2013年2月に経産省の認定を受け工事を進めて来ましたメタン発酵ガス発電所が12月中旬に完成、1800トンの冷たい糞尿を発酵槽に溜め、その暖房配管に灯油で温めたお湯を循環させ40℃になるまでひたすら加温し続けてきました。
年が変わって真冬日が続き糞尿の温度が上がるのに時間がかかりましたが、3月ようやく適温になり、エンジンを動かせる品質のメタンガスが持続して発生、ガスバッグ(ガスを溜める樹脂の袋)に溜まり始めいよいよ発電の出来る状態になりました。
3月14日、ガスエンジンが初駆動、待望の熱電併給(CHP)システムが機能、一日3000kWhを目標に発電が始まり電気は6600Vに変圧送電し、哺乳舎には80℃の不凍液を供給、お湯に変換し哺乳用ミルク作りや飲み水を暖めるなどに使い始め、そこで長年使ってきた灯油ボイラーは補助熱源になりました。

目下、発酵槽で次々発生する泡を抑え込むため悪戦苦闘中。サラダ油を流し込んだり、糞尿投入量や攪拌時間を加減したり、あの手この手と繰り出すも “見えない相手”どころか“手に負えない相手”で状況は一進一退、頼むからおとなしくしてくれと語りかけても効果なく、落ち着くにはしばらく時間が掛かりそうです。
こうした取り組みの蓄積が今後の安定した運転に繋がるのだと言い聞かせ, 宛先「北海道電力株式会社御中 3月分電気量料金請求書」を今までにない気分で眺めながら、泡との苦闘を忘れています。ちょっとオーバーか?

3月14日から1カ月間のメタンガス発電量は、泡の対応や機器調整中にもかかわらず別海実顕地全体の3月分使用電力量の122%、産業部門に限れば140%、一般家庭年間使用量の約20世帯分に当たり、今後、泡が落ち着き外気温も上がれば電気・熱出力とも計画に近づくものと期待しています。改めて乳牛パワーには脱帽です。

北条・春日山・豊里・別海の4実顕地酪農部で毎日約1900頭の乳牛が55トンの牛乳を生産し、5~6頭の母牛がお産をしています。365日毎日です。“もォー”とつい発しながらも、多くの恩恵を途切れることなく安定して我々に与え続けてくれるこんな相棒、産業がたくさんあると思いますか?愛和館で甘いミルクやヨーグルトを味わいながらこの健気な相棒の姿を思い浮かべ、たまには顔を見に行ってやって下さい。“次は乳牛を相手にやってみるか!” 大歓迎です。

金の要らない村にお金のはなしを最後に。財務分析に“キャッシュカウ”という用語があるそうで、意味は雌牛(カウ)のミルクにようにお金を生む事業とのこと。JR山手線や環状線のように日々安定してそれを生む事業などが該当するのでしょう。言い得て妙、雌乳牛の価値がこのように使われています。 燈台下暗し?

【4月17日 別海実顕地酪農部 荒木靖】