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ピエールさんに聞いてみました


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お正月特講を受けられたカナダ人のピエール・カーペンターさん(61才)が春日山に滞在しています。
蔬菜部で受け入れて、毎朝出発研に参加して一緒に畑作業などしています。
彼はパーマカルチャーの考え方に共鳴しそれをみんなに知ってほしいと願っていて、自分に出来る事はなにか?と模索しながら、その場その場で出来る事をして世界を旅しているような印象をうけました。

インタビューをした前日の夜に老蘇愛和館で彼の主催で『土づくり』のビデオを(もちろん英語版)を見る会をしました。ビデオの後、質疑応答もあってなかなか面白かったのです。
まずはその印象からインタビューが始まりました。

昨日はどんな感じでした?みんなが集まって。

ピエール 大勢来たことを驚いたけどそれがズーとあれ位残っててその後まで残って関心を示したことに非常に驚いた。映画自体がかなり専門的、対象が野菜を作ろうという人向きだったのに、あれだけ関心をもってもらってビックリしました。

私もビックリしました。

ピエール あの話は自分の庭みたいな話でこことは規模が全然違うのにああやって一生懸命見てくれた、後で出た質問も核心をついたものがいくつもあって、自分にもよかった。

よかったですね。ところで実顕地の印象はどんなですか?

ピエール いろんなことが積みあげられて長年の歴史の中でこういうものが出来上がっているというのが非常に印象的

人の印象はどうですか?

ピエール 来た時に誰も驚かない、まるで全部情報が行きわたってるかのような印象をもったけどそれでいてみんな好奇心で近寄ってきて、「どこから来たんだとか、なにしてるかとかもいろんな事を聞いてくる、モンゴルの人達もよく受け入れられていて、長い時間やってきているようなことからオープンマインドな感じを非常に受けた
家族の一員のような感じを最初から感じている、横並びという感じかな、立場とか上下を感じない、20年以上いる人と自分のようにちょっと立ち寄っただけのものとの差を感じさせない所だな。

それは世界を歩ていて、珍しい事なんですか?

ピエール いままでみた所というのは競争があったり対立があったりしたけどここはみんながそれぞれ社会全体の為にと考えてる動いてるということが既に新しいし、すべての人と友情といったらいいのかむしろ兄弟愛を感じる。それは非常に珍しい。

それはピエールとそれぞれのひとと兄弟愛を感じるという事?それとも私達のグループの中が兄弟愛で結ばれているという事?

ピエール そう、私自身が感じる。純粋にもう、むしろ引っ張りこんでくれるような、最初はちょっとどんなところへ来たんだろうと引くようなところがあってもそれもひっぱりこんでくれる位な家族愛みたいなものを感じた。
職場へ行ったらごく自然に毎朝出発研があって互いに考えている事やろうとしている事を知り合おうとしている、それは他では無い事

そうなんだ、うちらは当たり前のことと思ってる。

ピエール そう、だからこうやって外からの人の眼でこういうものをちゃんと評価する必要がある。

そうですね、ほんとに。見て貰うといいですね。

お若い時にはどうんなふうに考えていらしたんですか?仕事とか通して

(彼は18才の時から軍隊で働き始めた。あまり家にいない父と病気がちの母と妹3人の面倒をみていたようです。小さい時から人にたいして責任を負っていた。
18才でそれまでの家族を離れ、新しい家族としてのNATO(北大西洋条約機構)の軍隊・医療部隊の医療アシスタントとして司令官のような仕事を40年してきた。
いろんな戦場にも行った。最後の11年はカナダの果樹園もやっていて忙しかったが昨年退役して、果樹園も売り11月に日本に来た。
合気道、整体、ユキ(?)パーマカチャーに共鳴したもともとの人が日本の福岡さんで、興味をもったものがみな日本からきたものなので、日本そのものに来て見たかった。
特講を紹介され一緒に受講したジュウジョさん(チリ人)とはインターネットが取り持つ「縁」で特講で初めて会ったそうです。)

特講で又はヤマギシでピエールさんの求めていたものに少しでも出会えました?

ピエール 私はなにも求めていなかった

それなら、関心が重なるとか?

ピエール こういう集まって暮らすという事がこれだけ長い時間成功しているという事を知った、誰をみてもそれぞれこの社会にたいしてキチッとやるべきことをしている。
子供達ですら乱暴をするような事もないし、自信をもって堂々といる、そういう子ども達が育っているという事も素晴らしい事だと思う、そういう何かがある。
ふつうこういうことを世界どこでも始めるとしたら小さなグループから始めるだろう。そういう意味で小さな実顕地を見るのも興味深い。

是非和子さん(特講の通訳で入っていた)のいる榛名もみてほしいわ。

特講は何か印象的なことがありますか?

(日本人が特講を受けるのとは違ったものがあったようです。通訳の堀さんと彼と私で大笑いしたいくつかがありました。何と表現したらいいものか…。
最近云われている発見型の特講と説明型の特講という見方からすると、彼は途中で「発見するんですね~」そこを越すととっても楽しくなったし有意義だったそうです。今さらですが特講って世界中通用するんですね)

今でも「ブッシュは嫌いだ」と。戦場の悲惨さや掛け替えのない部下2人を戦車と地雷で亡くした話も聞かせて貰いました。

素朴な疑問ですがそれでも、40年軍隊で働いていたというのはどんな感じなんですか?

ピエール 任務を遂行するという事が自分自身より大事なことでそれを軍隊というひとつのファミリーで成し遂げようとする、人道的な支援として医療を提供すると言う事をやってきた。

それは現地の人の医療も含むの?

ピエール 病院もなかったりでその場に行って必要な人みんな診ていく、人道的とはそういう事

それはそれで大きなお仕事ですよね。

ピエールさんは前線で医療チームだけでなく500人くらいの人に指示を与える立場にあった。
前戦で部下を亡くした時、自分は指示を出せるような状態じゃなかったけれど黙々と任務を遂行する部下たちに救われた。それ程に大事なことがある。
退役した今でも任務を遂行している気持ちです、と言われる。『任務を遂行する』とは彼にとって、生きて行く辻褄を合わせるというか、生き方なんだなと聞こえました。
それがパーマカルチャーに共鳴する原動力になっていると彼は言う。

こんな風にひとりで、頑張るでもなくなにかを伝えたくて、その場その場の人と一緒になにかをしながら歩いている人と『ひと時を過ごせた事が嬉しい』そんなインタビューでした。
有難うございました。18日まで滞在して一度台湾に行かれます。
桜の季節に又来られるとか、又お会いしましょうー。
 

【春日山実顕地 平島春美】