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養鶏サミットに参加してみて【春日山交流会】


(8月春日山交流会より佐川さんの話)

佐川さん(8月度春日山交流会にて)

佐川さん(8月度春日山交流会にて)

養鶏サミットに参加してみての感想を、少し話したいなと思います。
最初ね、ぼく、養鶏サミットって聞いてね、「えっ、この時期に養鶏か?」って思ったんですよね。なぜかと言うと、毎日そこの春日山養鶏の横の道を、朝昼ずっと10年近く行ったり来たりしてると、ずっと横目で見ると空なんですよ。空の鶏舎が続いて一番前が倉庫になってて、それを見てて「ヤマギシ養鶏は、ひと役終えたんだ、又そのうち陽の目を見る時があるかな~それまではお休みかな~」そんな気持ちでずっと思ってて、「ヤマギシ養鶏は、現時点では一冊の赤本の中にしかないのかな~」そんな気持ちでいたんですね、でもまぁ養鶏を通して、養鶏繋がりで世界中の実顕地のメンバーが寄って来る、それはすごいことだなぁそんな気持ちで参加しました。
最初各地の現状報告があったんですけど、海外実顕地の報告があったんです。
例えば韓国実顕地はこれから有精卵が求められてきてて、新しい鶏舎を建てたいとか、ハンギョルのような新しい飼育係が育ってる、その辺がすごく新鮮に感じました。
また、オーストラリア実顕地ではハッピーエッグがすごく浸透していて、まだまだたくさん需要があり、スーパーマーケットがほしいと言ってきてる。でもまぁこれ以上鶏舎増やしたくないんで、今は6棟分でやってる、青草は年間給餌だし、例えばトウモロコシなんかもぼくらの感覚だと、どっかの商社とか、問屋を通してトウモロコシを買いあげる、そんなイメージでいたけどオーストラリアの場合は、近くの農家から直接トウモロコシ買ってる、そういえばそうだなぁと。ケアンズは、トウモロコシの産地ですごく恵まれたとこで、ますますヤマギシの卵がいくらでも求められている。
ブラジル実顕地の発表もあったんですよね、僕ら、多分僕だけじゃないと思うだけど、
「えっ、ブラジルってまだ実顕地やってるの?」そんな気持ちだったんですよね、ところが違うんですよね、びっくりしました、なんかね、ブラジル実顕地が一番忠実にヤマギシ養鶏を顕現してる、ヤマギシ養鶏をやってて、そこからの鶏糞で無農薬で有機農業で畑で60種類の野菜を作って供給してる、そういう循環農業を、たくさんの人が参観に来たり楽園村も結構繁盛してる。ブラジルとしては受け入れの態勢が整わない、実習生もたくさん受け入れたいんだけども、実習生の賄いをする人がいない、そんなんでなんぼでも求めれれている、ヤマギシの卵を欲しい人がたくさんいる。
ホメオさんがビデオで見せてくれたんですが、例えば、鶏の運動場、話だけでは分からなかったんですが、ビデオ見て、あ~なるほどなと思ったんです。今世界の流れが動物愛護の観点から、鶏1羽に1メートル四方の空間が必要だということで、今の鶏舎だったら120羽だったら、それを広げるために運動場をつけた、どんなふうに改造したのかな、ビデオで見せてくれたんです。たとえば鶏舎が4棟あるとしたら、中の2棟を潰して鶏舎の後ろ側に運動場をつけて、天気のいい日は、後ろの跳ね上げ戸から鶏がポンポンと外へ出て、草とか虫をついばんで雨の日は閉めてる。そこの卵が目隠しテストのコンテストがあって、ブラジルでNO1の一番美味しい卵にうちの卵がなった。へぇ~と思って、すごくヤマギシの卵が世界の観点から見たら求められている。自分の春日山のところにいたら、もうお仕舞いかな(笑)。その辺のギャップが今回すごく大きかったですね。
そういう世界の状況を受けて、この間一貫して、ヤマギシ養鶏をやって来られた中西喜一さんとか、杉本健三さんが50人近い研鑽会の場で、ほんとに後半延々と熱く語ってくれたのがすごく自分の中では印象深かったので、それを紹介してみたいです。
例えば喜一さんは世界の、あの歳になっても世界の養鶏の流れをほんとに詳しくチェックされてるんだな、今ケージ養鶏はだめだし、動物愛護の観点からデビークもだめ、もちろん強制換羽、体質改善そういうのもだめ、ヨーロッパとかブラジルとか、世界がそういう方向になってきて、アメリカの養鶏なんかは、どんなことを今やろうとしているかというと、デビークがダメだったら、デビークをしなくても良いおとなしい鶏に品種改良が進んでる。喜一さんが言うに、それはそれで品種改良はすすんでるけども、そういうおとなしい鶏は産卵率がそんなに高くない、けどもそういう観点から品種改良はどんどん進んでる。それに対して、ヤマギシ養鶏だったら、そんなデビークしなくても品種改良しなくても生涯にわたって、健康正常な鶏を飼い方次第で育てることができるんだということを、かなり具体的に話してくれた。例えば堆肥熱育雛法を今一度本気になって試験してみて、みんなでやってみて、堆肥熱育雛の原理を新しい社会式養鶏の新しい新鶏舎構造に取り入れたい。なぜそういうことが言えるのか?ヤマギシの堆肥熱育雛法で鶏を育てると40日齢まで、あんな狭い中で堆肥熱の熱だけで温室と冷室だけで、狭い空間の中で150羽の鶏を、40日間暮らすことで、熱源とか湿度とか温度とかいろんな要素で、40日間の間に体質も暑いところとか寒いところとか、知覚することで、皮下脂肪とかが鍛えられて体質が変わるし、僕なんかそれ聞いて思ったんだけど、鶏の観念の習性も変える、そういう厳しい環境の中で、どんなことがあっても仲よくみんなでやっていく、そういう観念習性を植え付けるような事を多分堆肥熱育雛法ではやられてる、そのまま40日で開放しても生涯にわたって、つつきをしなくてもいい鶏の養鶏が可能だ、今こそヤマギシ養鶏をひろく世界に打ち出して行きたいと、喜一さんが熱く語ってくれました。
それに続いて杉本健三さんなんかも、ほんとに適正価格で安くて美味しい卵を、もっともっといろんな人達に評価してもらいたい、丁度青本の終わりのほうの「一卵革命」をいまこそやりたい、それによってヤマギシ養鶏がみんなのものになる、そういうことを是非実現したいと、健三さんが語ってくれました。そんな事を聞かせて貰って、喜一さんが終わりの方で、ややもするとヤマギシ養鶏を新しい時代に合わせて変えるんだという気持ちになるんだけど、喜一さんがいうには、自分等はまだ本当のヤマギシ養鶏をやったことがないんじゃないか、ヤマギシ養鶏にもっと近づいて行こう、そんな風にいってくれてて、ほんとにそうだなぁと、今から始まるんだなぁと、思いました。
そういう事が、今回世界中から集まった50名近くのメンバーで、それもほんとに多彩な人達で、健三さんとか喜一さんとかの山岸巳代蔵さんと直接交流があった世代と、僕らのように養鶏法研鑽会を通して社会式養鶏を顕現しようとしていた世代と、それからもう一つは英夫君も言ってたけどひよこにタッチしたことなくて、ヒヨコなんて縁日の青い羽根のヒヨコしか知らねーという世代が、3世代が一緒になって、これから歳をとって、餌が重たいとか、大変とかの実際も取り入れて、自動化できるところは自動給餌にしたり、自動集卵して、そういう事をほんとにやっていく、みんなでひとつ同じ土壌でやっていく、今までそれぞれやってきた体験とか知識とか一切外して、いろんな人の携わっている立場を放したところで、ひとつになって本当はどうか、どういうのがこれからの新しい鶏舎、ヤマギシ養鶏といえる鶏舎構造であり、機械化であり、そういう内容、要素がそこから顕現されるのか?みんなでおなじレベルというか研鑽の場で、研鑽していける、そういうのがここ1~2年で土壌というか場所が、研鑽できる場所が今出来てきてるのかなぁと強く感じています。
ほんとに執われのないところで、踏み込んでホントはどうか、本当はどうかで、それ一本槍で研鑽して、新しいものを見出していく、そういうことがやれるように、この実顕地一つの流れが進んできてるんだなとすごく、養鶏サミットで感じました。そう言えば、8月のテーマで大転換、新機軸を産み出す、どこが大転換なんだ、どこが新機軸なんだ、そのへんがなんか自分の中でも、みんな参加していたメンバーも、ちょっとこう、うっすらと浮きあがってきたというか、見えてきたというか、なんかそんな自分にとっても、ヤマギシ養鶏が真価発揮するのはこれからだと、あらためて気づかされたおおきな研鑽会でした。

テープ起こし 平島春美(春日山)