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別海バイオガス発電所Now!


別海実顕地バイオガス発電所

-2015年度 年次報告-

2013年末に完成、翌14年は菌も実顕地にも培養期間で経過し、昨年は年間を通し概ね安定して発電を続けた別海実顕地バイオガス発電所の年次報告です。
毎日約60トンの乳牛糞尿と食べ残した餌を発酵槽に投入、東京ドームの容積の約60%当たる年間74万立方メートルのメタンガスを燃料に120万kHh、一般家庭年間消費電力の330戸分の電気を生み出し、その時の排熱を使ってお湯を作り牛舎での灯油使用量は30%減り、更に発酵槽から毎日押し出される糞尿消化液中の繊維分を機械で年間2千立方メートル絞り取り、乳牛の寝床のクッション材として使い、残りの液分約2万トンは800ヘクタールの自給飼料用農地に適期散布した。 以上。

愛想ない? 新年なのに。 では思いつくままに1年動かしての教訓などを

  • 毎日、五郎丸さんみたいにやっていれば安定的にガスが発生し発電もでき、たまにゴールポストから外れるのも一緒です。欲張ったり、発酵槽をいじり回すと気苦労やすることが増える。乳牛の胃袋と似ています。
  • 多くの村人が発電所の警告灯や音、臭いなどの状態に関心を持って、あれー?と思ったら担当者に連絡し速やかに手をうつと発電機の効率も上がる。15年は91.5%。
  • 電気やガスの危険物を扱っていることをゆめゆめ忘れない。
  • ガスに含まれる湿気と硫化水素は発電機の寿命に影響する様だが、それを除去し低い値を維持するのはそう簡単にはゆかない。寿命、5年マジでー!7年こんなもんか。10年エクセレント!!
  • この対策の一つとして、糞から浮き上がる繊維分の層(スカム)に細菌を繁殖させ硫化水素を減らす“生物脱硫”という方法を取り入れているが、効果は今一つ。狙うは、うすい厚さの層を造りそこに菌を繁殖、維持させること、それには状況に応じた発酵槽の攪拌の仕方を見つけだすことが大事になるようだ。
  • 発酵槽の攪拌が少な過ぎると繊維層はどんどん成長し厚くなり、表面に菌は繁殖するが今度はそれ自体を破砕することも大変になる。昨年12月は40cmの厚さに成長、液面が蓋をされた状態になりガスの発生も発電も繊維分の回収量も減り、それを壊すのに苦労した。もしこんな状態を上部の開放された糞尿槽で起こすと、糞の上に乗ることもでき、何とかして壊さないと灌木も生えてきます。
  • 熱エネルギーは、発酵槽の暖房が優先の冬でもまだ活用の余地はありそう。夏は勿論。
  • 固液分離した水分50%の繊維分(通称バイオ粉)は、乾燥などせずそのまま機械で牛の寝床に入れているが、最近の細菌検査でも投入時は常在菌のみでしかも菌数も少なく問題なし、3日以上残っている場合は当然菌数も増えるため、石灰などを表面に撒く必要がありそうだとの獣医さんの見解です。
  • 消化液は草地に散布直後でも殆どの人は“くさい!”と感じない水準、驚くほど臭わない。肥効についてはまだ解らないが。菜園に使えば効果が早く解りやすいと思うが今はそこまで手が回らないかな。
  • 化学肥料の使用量は2013年と比べ20%、金額では30%程度減った。今後、土壌分析やカルシュウムなど土壌改良資材の効果的な施用に力を入れれば更に減少し、基礎飼料の牧草の品質も高まり、乳牛の健康や生産に貢献するのではと期待しています。
  • 二酸化炭素(CO2)削減量は、発電や液肥からバイオガス処理に変わったことなどで計算上年間1400トン程度にはなるようだが、車などその何倍も排出しているから大きなことは言えない。各所で「節電所」の取り組みに力を入れるのも効果が早いのでは。
  • 今年は新しい利用方を考えないと“むらネット”に載せるネタがなくなり、「別海はどうしとるんや?」と新規参入の春日山発電所に圧倒されるのではと心配だ。
暴風雪・大雪・真冬日・除雪疲れの別海実顕地酪農部から 荒木靖