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日本みつばちの飼育をはじめて


ニホンミツバチの週末養蜂家というホームページに4年前の秋に出会いました。そこには、日本みつばちの生態、気質、飼育法や管理法が事細かに記載されていると同時に動画があり、実に分かりやすい構成になっていました。巣箱の作り方も図面から組み立て方が動画を交えて紹介されるので作ってみようという気になります。冬に夜なべして作り、春には準備完了となりました。5月の分蜂の時期に巣箱を置き、蜂の誘引剤を設置して蜂の来るのを待ちます。


幸運にもやってきたのです。ぶんぶんと蜂が舞い、巣箱へ蜂が入っていきます。小さな群れでお椀を伏せたくらいでした。

 

ここからのはじまりでした。
もともと養蜂には興味があり、爺さんになったらやってみようかなと密かに思っていました。案外早くに実現したことになります。日本みつばちの飼育は難しいという人が多くいるようです。週末養蜂家のHPの中にも書かれていますが、蜂が自分で働くので、餌やりも、糞出しもいらない手のかからない家畜です。巣箱を提供したら、はちみつが手に入るなんとも都合の良い養蜂ですが、たくさん増やして商業的に採算の合うものかというとそうでもありません。そのあたりが難しいという表現になるのでしょう。
3年飼育して、増やすことの難しさは感じますが、毎年新しい発見で「よし、来年はうまくやるぞ!」と意気込みますが、またちがった事がおこります。予想以上に捕獲できた春は「こんなに増えたら、採蜜がたいへんだー。」とほくそ笑むのですが、結局逃亡や消滅で肩を落とすことの連続です。それでも蜂がせっせと蜜を求めて飛んでいく姿はなにか感動に近いものがあります。また、蜂の世界の不思議やわからないことに触れる日々は、楽しいものです。
二年目の初夏に採蜜したはちみつをファームで出したいなと思い、数は少ないですが製品化することにしました。


あっという間に完売して、みなさんに喜ばれたようです。
採蜜して気がついたのですが、はちみつは巣箱毎に味も色も違うのです。集める花が違うのか、百花蜜ですから同じ地域なら同じかなと思っていたら、巣箱=女王で違うのです。ですから、巣箱毎に採蜜した蜜は瓶詰して、他の女王の巣箱とは混ぜません。これがうちの蜂蜜の特徴です。同じ時期に採蜜したはちみつがご覧のように違います。


味も風味も異なるため、はちみつには女王の名前を入れています。
日本みつばちは、日本固有の品種です。一般養蜂は西洋みつばちを用います。日本の気候風土に適した西洋みつばちより小さい蜂です。近年環境の変化からか、減少しています。里山の環境が残るこの地で巣箱を用意していくことも、保護の一役をしていることになるようです。彼らの生活の上前をはねているようなものですが、彼らを取り巻く環境を含めて肌で感じる養蜂でもあり、興味深い存在です。
今年、採蜜を見学に来てくれた人がいて、写真をとっていただきました。

 


もうじきファームにこの時の蜂蜜が並びます。少ないですが、楽しみにしてくださる皆さんにお裾分けという気分で出しています。今年はラベルが新しくなるそうです。
こうご期待!
2017-06-19 (3)

豊里実顕地 赤松 茂