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次世代に向けて
【養鶏サミット】


飯田実顕地にて

飯田実顕地にて

8月23日から25日まで春日山実顕地で、ブラジル、オーストラリア、スイス、タイ、韓国、日本と全実顕地が一堂に会しての養鶏サミットが開催された。
ヤマギシズム養鶏が誕生して60年近く経ち、その過程に於いて培ってきた技術や精神を寄って出し合い、ヤマギシズム養鶏の本質を見極めていく中で、次世代の養鶏、実顕地を共に描く機会にしていこうとする趣旨からだ。

参加者は、農業養鶏の時代に直接山岸巳代蔵から指導を受けた世代、養鶏法研鑽を通して社会式養鶏を実施してきた世代、直接養鶏には接していない世代など多岐にわたった。
まさに時と、空間と、熱意の相乗積に満たされた画期的な研鑚会だった。

「餌袋が重くてしんどいから、自動給餌にできないものか?」「否、それはヤマギシ養鶏ではない」として、そこでとどまるのではなく、自分の思っているヤマギシ養鶏にとらわれる事なく、具体的にも学理的にもそれを研鑽できる場がここに誕生したのだ!

しかも今、ブラジル、オーストラリア、韓国等の諸国では、ヤマギシの平飼い卵が広く求められている動きを直に知らされた。
世界の養鶏産業の流れは動物愛護などの観点から、ケージ飼いは禁止、弱い鶏のお尻をつつく「尻つつき」を防ぐためのデビーク(くちばし先端のカット)や強制換羽の禁止の方向へ動いている。必然鶏の品種改良も、デビークしなくても良いおとなしい鶏つくりに向かっているという。

こうした流れの中で、今こそヤマギシ養鶏の出番、チャンス到来だと当初から関わってこられた中西喜一さんや杉本健三さんが熱く語ってくれた。
中西喜一さんは、雛の育て方、飼い方しだいで健康正常な鶏つくりが可能なことを世界に打ち出したい、と。
杉本健三さんは、皆が求めている安くて美味しい質の良い卵を評価してもらえる「一卵革命」こそ実践したい、と。

『山岸会養鶏法』の一節に
「如何に天才でも、自分がその境地におらないと、現実、目のあたり草茫々の破れ世帯を見てからでは、観察が曇るらしいです」

とある。ホント、日本に居て日々目のあたりに空の鶏舎群を見てからでは観察が曇るらしい、とはこのことだった。そんな愉快な発見もあった。

春日山実顕地 佐川清和

諸国、日本の各地から50名近くが集まった養鶏サミットが終わりました。
飯田実顕地種鶏場の自動給餌機「チェーンフィーダー」の参観からスタートし、内部川実顕地での自動集卵機「ネスト」の参観、春日山実顕地での研鑽会へと続けてやってきました。
ブラジル養鶏の様子をビデオで見たり、オーストラリアや韓国の現状、一志のウィンドレス鶏舎建設の話などを聞きながら、これからの平飼い養鶏の中身、あるいは鶏舎構造、飼い方などの話が熱を帯びていきました。
「サミットで盛り上がって何か満足しちゃうんじゃなく、具体的に何か着手するところまでやりたい」
という意見が出たことで分かるように、何か次世代に向けて進めたいという意欲を強く感じる研鑽会でした。

今回、具体的に出てきたことは二つ。
1、次世代の鶏舎を、まず一つ作ってみる。
2、来年の春にまた諸国メンバーも含めて集う。その時に「堆肥熱育雛」での入雛をやってみる。

1は、自動化も含めた「次世代の鶏舎」を描き、遅くとも来年には建設に着手する。既存の鶏舎にこだわらず、いろんな意見を集めて描いていく。窓口は内部川の石角。鶏舎の建設用地は、内部川豚舎跡。
みんな現在の鶏舎には様々な思い入れや、良さを感じている部分も多く、出し合っているときりがない感じでしたが、とにかくまずは次世代の鶏舎に向けて、一歩踏み出してみる。そんなサミットになったかなと思っています。

内部川実顕地 石角聡