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ヤマギシの村づくり3-(10)


    ヤマギシの村づくり3-(10)

    常識人か研鑽人か その人の気持ちといっても二つある

    実顕地一つからの人・物・事業の適正配置

    稔りの秋 楽しさ求めて集う 交流・適期作業

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9月30日、いよいよ磯部農場へ3家族7人を揃って送り出し、新しいスタートをきりました。昨年8月から1年間をかけ準備を進めてくる中で、養豚場としての磯部農場ではなく、磯部に実顕地を。との機運も高まってきました。
先だって、春日山では全研で「磯部出発研」がもたれました。
「養豚部はこの人、生活部は誰々、と分けるのではなく、一つで、磯部(いそべ)にかけて、いそ部(いそぶ)でいきたい」「東部での新豚舎構想にあと1歩というところで、今回の流れになったのは今でもよく分からないけど、『Aさんが育つためのバイオマスでいいし、Kさんのための磯部でよい』と断言した人がいる、と聞き今はそうだなと思う」「21世紀に入って初めて立ち上げる実顕地、名称はどのように決まっても中身は実顕地としてスタートしていきたい」「今回配置になる7人の中でいろんな事が出てきても、実顕地になっていく、繋がりの中で実顕地ができていくようなところをやっていきたい」などと、途切れることなくそれぞれの今の気持ちに触れることができ、「実顕地とは何か?」と、余韻をのこす研鑽会となりました。

先月の全国実顕地づくり研は、初めて岡部実顕地に会場を移し「関東編」として120名が集まり、関東の実顕地について1泊2日をかけ研鑽されたそうです。
その時の様子や、研鑽されたテーマは村ネットで詳しく紹介されていますが、その中に次のようなコメントが寄せられていました。
「この研鑽会に参加して『実顕地ひとつ』と聞きながら『一つ一つの実顕地を維持しよう』と考えていたことがよく分かりました。『観点を変えてみる』とはどういうことか、やってみるとどうなるのか、次にどういう視野が開けてくるのか、多いに楽しみです。」(村ネットより)
ともすれば、自分の職場・自分の実顕地からみての考えで一生懸命になりやすい私達だからこそ、たえず寄りあいながら、人を受け入れていきながら、動き合いながら、新しいことをやってみながら、「実顕地一つ」からの観点で出発し考えていけるお互いになり合っていきたいものです。
ほどなくして、「11月7日にヤマギシファーム町田店(常設店)オープン」とのお知らせや、岡部の冬の楽園村では、小学生に加えて中学生も受け入れるとの風の便り、ずっとレシピを守り続けてきたマヨネーズのその後など、動き出している様子が伝わってきます。こうして目に見える現象面から、その元にあるものを感じ取ることができるのだと、「形をつくって、形じゃない心です、と言えるところに値打ちがある」との表現がぴったりだなと思えてきます。
研鑽会があったからこその「今」があり、そんな意味でひとつひとつの研鑽機会の大きさ、研鑽の醍醐味を感じさせてもらえる実顕地づくり研でした。
首都圏から近い岡部なら産業より観光実顕地として、という意見も出されたそうですが、そんなふうに「一つ」からみて、それぞれの実顕地の持ち味を生かし適正を見出していくことで、そこから繋がりひろがっていく村づくりが描けてきました。

9月には全国実顕地へモッツァレラチーズを贈らせて貰うことができました。
今年に入って、わが家の原乳でチーズづくりがしたいという提案がありました。1回で1キロ程度が作れる機械を使う前提で考えていたようでした。
早速、各職場・部門から寄ってのチーズ研が開かれました。今思っていることを充分に聴かせてもらいながらも、もっとないか?同じやるなら村のチーズづくりとして出発していきたい、という空気で進んでいきました。
そのことで、結果的には当初の描きとは大きく違った方式で作ることにもなりました。主に担当している人もそうではない人も「村のチーズづくり」というところで一致したからこそ見出すことができたし、その事で食生活が豊かになり、全国の村人にも贈りたい、年内にはファーム等にも並べたい、と実現へ向かっています。
その人がそうしたいから、その職場・実顕地がそうしていきたいからそうしよう、という場面はよくあるように思います。「それならそうして貰ったら」は優しさでもあり、尊重しているようで、そこだけ・それだけに留まってしまう様にも思えます。「その人の気持ちといっても二つある」常識・一般的な考え方から放れ「もう一つの気持ち」まで研鑽でたどり着きたいものです。

稔りの秋、夕張のじゃが芋収穫へ、大潟の稲刈りへ、そして六川のみかん摘果交流へと送り出し合っています。
六川は以前なら週単位での交流、せめて数日間は、といった受け入れ方でしたが昨年あたりから「日帰りでもぜひ」と受け入れて貰っています。
日帰りでもよいなら。とハードルがずいぶん低くなり、仲良し班で便を出したり、豊里と一緒に出かけたり、いろんな人が関わらせて貰ってきました。中には毎回参加の人や、次の便が来るまで交流という人もいます。
見晴らしもよく、みかんの香りに包まれての作業、お弁当の時間には六川の人との話に花が咲き涵養にもなります。毎年気軽に足を運び、少しでも関わってみるとそれだけで「わが家のみかん山」になってきている気がします。まさに「私のみかん山の広さに驚いた!」というところでしょうか。
先日の研鑽会で酪農部の人が、「催乳を募集する時など経験者がよいと思ってやってきたけど、全く初めての人でも一緒にやれるようになってきたり、新しい人が続けて酪農配置になったりと、今までは専門職としていた職場が誰でも受け入れていくことで、実顕地の職場らしくなってきた」と話していたのが印象的でした。

人を受け入れていくこと、交流していくことでひとりひとりの心が豊かさに包まれていくようです。自然界からの贈り物、秋の稔りの豊かさとともに心の豊かさを満喫謳歌し村づくりをしていきたいです。

春日山実顕地研鑽部

2015年春日山研鑽テーマ

2014年春日山研鑽テーマ

2013年春日山研鑽テーマ